知られざる半導体商社のポテンシャル。IoTは商機に結びつくか?

常に新商材を追い求める専門集団が見つけた鉱脈

 自動車、産業機器を新たな収益源にしようと攻勢を強める電機・電子部品メーカー。この動きに呼応し、電子部品・半導体商社各社が、センサーなどの新商材発掘やメーカーの開発を支援する取り組みを強化している。車分野ではIT化や先進運転支援システム(ADAS)、産業機器分野はモノのインターネット(IoT)を使った新しいモノづくりに対応することがテーマだ。
 
 《自動車分野/ADASなど車載システム競争軸に》
 自動車は燃費向上と並行し、ADASなどドライバーの運転を支える各種車載システムが競争軸の一つになった。他社と差別化を図るため車メーカーや電装品メーカーが車載システムの研究開発に経営資源を集中させる中、商社は国内外で商材発掘や開発支援体制を充実させ、安定成長が見込める車分野のビジネス拡大を急ぐ。

 丸文は2014年度に車に特化した営業本部を発足したほか、米国に新商材を発掘する駐在員を置いた。菱電商事も新商材を発掘するための担当者を海外の拠点に常駐させる。特に欧米では、センサーや画像処理ソフトなど有力商材や技術を持つ企業が多く、専門人材を現地に置くことで、有力な商材を早期に獲得するのが狙い。
 
 一方、UKCホールディングスは、ADAS向けにソニー製の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーの提案を始めた。1次部品メーカー(ティア1)や2次部品メーカー(ティア2)が売り込み先で、各社への提案力を高めるために技術営業職(FAE)を順次増員する。
 
 センサー単品だけでなく、モジュール化への対応や画像データ取得後の信号処理といった、周辺技術を提供するなどして開発サポートを充実させる。スマートフォン向けがメーンだったCMOSイメージセンサーを自動車分野にも横展開し、新しい収益源にする。
 
 《産業機械分野/IoT本格普及前、独自戦略打ち出す》
 産業機器分野ではIoTを活用した新しいモノづくりに注目が集まっている。
 FA機器やロボットにセンサーを組み込み、ネットでつないで国内外工場の生産状況をリアルタイムに管理。データを共有し、生産を最適化するのが目的だ。
 独では国策で「インダストリー4・0」が、米国ではGEが主導する「インダストリアル・インターネット」が本格始動。日本でもTDKやオムロンといったメーカーがIoTを工場に導入する計画を打ち出し、国際競争力を一段と高めようとしている。

 IoTの本格普及を前に商社は独自戦略を相次いで打ち出す。菱電商事は画像認識用のカメラと無線識別(RFID)タグを組み合わせて、品質管理やトレーサビリティーなどの効率化を図るシステムの提案を始めた。先月独で開催された産業見本市「ハノーバー・メッセ」のブースでも紹介。日系の食品やプラントメーカーなどとの商談が進んでいるという。

 丸文は複数のセンサーと制御用ICをまとめた評価ボード「クアトロ」の供給を始めた。IoTを使った生産システムの構築などに役立つ。水野象司社長は「(評価ボードの)引き合いは非常に強く、IoTへの関心の高さが年々強まっている」と指摘。 商機を着実につかもうと、国内外の市場動向を注視する。

日刊工業新聞2015年05月06日 電機・電子部品・情報・通信面

明 豊

明 豊
05月06日
この記事のファシリテーター

10年ほど前に半導体業界の本を書いた。それまでデバイスメーカーを取材するのが精一杯で半導体商社のことはほとんどを知らなかったが、ちゃんと「章」を立てるため、いろいろ話を聞かせてもらったが、今でもたまに読み返すことがある。当時、デバイスメーカーの再編の余波で、商社も集約されるという意見が多かった、なかなかしぶとく生き残っている。グローバル化が課題ではあるが、IoTのようにソリューションが勝負になってくると、彼らの活躍の場が広がるのではないか。

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