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商社は世界で最も貧しい国のひとつ「モザンビーク」を豊にできるか

丸紅、リチウム電池原料で日韓向け独占販売契約
 丸紅は10日、豪資源会社のシラー・リソーシズ・リミテッド(ビクトリア州)と、リチウムイオン電池(LIB)の主原料である球状化天然黒鉛の日本・韓国向け独占販売契約を結んだと発表した。シラーが採掘・加工したモザンビーク産品を、LIBメーカーや負極材メーカーに年間最大5万トン販売する。売上高約110億円を見込む。

 球状化天然黒鉛は、電気自動車やタブレット機器の普及に伴う蓄電池市場の拡大により、需要の伸びが見込まれている。2019年には年間消費量が10年比4倍の約40万トンまで増える見通し。

 シラーは、モザンビーク北部のバラマに黒鉛鉱石の濃縮プラントを建設し、18年に運転開始予定。米国で球状に加工し、年間26万トンを生産する。

 丸紅はLIB分野では従来、蓄電池やLIB用材料の販売などを手がけてきた。球状化天然黒鉛の販売に参入し、商材を拡充することでLIB関連需要を取り込む。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
モザンビークにある天然ガス田は世界最大級の埋蔵量が確認されている。商社にとって同国の資源は魅力だ。三井物産の飯島彰己会長は「資源から得た利益を、ハードとソフトの両面のインフラ整備に充当するほか、技術と資本導入による産業育成を後押しする。さらには国民の教育・生活水準の向上にも目配りしてモザンビークの持続的な成長の実現したい」という。

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