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「雨」を味方につけられるか?おしゃれ雨具や「雨の日サービス」で商機

「雨」を味方につけられるか?おしゃれ雨具や「雨の日サービス」で商機

イオンは着せ替えが可能なビニール傘を発売した(イオン葛西店)

 本格的な梅雨のシーズンを前に、小売りやメーカーが「雨」を生かした商品開発や販売促進に取り組んでいる。雨が降ると外出がおっくうになりがちだが、ファッション性に配慮した雨具を発売したり、雨の日限定のサービスを設定したりすることで、購入や来店を促す。

ビニール傘で新しい市場


 イオンは生地と骨を分解して着せ替えができるビニール傘「fururi(ふるり)」を、総合スーパーマーケット(GMS)「イオン」などで発売した。ボーダーや水玉などの生地を用意し、若い女性の需要を喚起する。

 近年のゲリラ豪雨の多発で、気軽に買えるビニール傘のニーズは高まっているが、壊れやすいのが弱点。ふるりの傘骨には、強風で反り返っても元に戻りやすくさびにくい樹脂を用いた。イオンリテールの山下義則衣料商品企画本部グループマネジャーは「長く使ってほしい」と期待する。ビニール傘はスーパーでの販売数は多くない。イオンは新しい市場の獲得を狙う。

 2015年6月の道路交通法改正で、傘を差したまま自転車で走る行為の取り締まりが強化された。傘の代わりとして、人気が出たのがレインコートだ。イオンリテールは、15年6月のレインコート売上高が、前年同月と比べ10%増えた。西武池袋本店は子どもを自転車で送り迎えすることをイメージし、顔や足元、自転車のかごを覆うポンチョなどを提案している。

傘の決め手は「色と柄」


 三陽商会は20代後半―30代女性がメーンターゲットのブランド「マッキントッシュ フィロソフィー」で、撥水(はっすい)性を持つスカートやワンピース、重さが約115グラムとスマートフォン以下の晴雨兼用傘などを発売した。6月中旬にかけ、伊勢丹新宿店などでレインアイテムの期間限定ショップを設けて訴求する。



 女性は傘などの雨具を、ファッションの一部だと捉える傾向が強い。ウェザーニューズが15年に傘の購入基準を調査した結果、男性は「強度」「値段」が各28%でトップだったが、女性は「色と柄」が52%を占めた。

 そごう・西武は雨傘の4倍の耐水性と、雨の日以外でも着られるデザインを兼ね備えたコートを、プライベートブランド(PB)で展開している。

雨の日を販促に生かす


 百貨店は梅雨のシーズンに、雨の日限定のサービスを実施する。東武百貨店は池袋本店で9日から、40カ所以上で実施。雨の日限定で、菓子のプレゼントなどのサービスを用意する。

 松屋銀座も19日まで、雨の日に食品の値引きなどをしている。来店者にとって憂鬱(ゆううつ)な雨を“恵みの雨”に転換する狙いだ。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年6月9日 建設・エネルギー・生活2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
各地で梅雨入りが発表されつつあります。外に出るのが億劫になりがちですが、お得なサービスも多いようです。

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