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シェアトップの意地。三菱ガス化学がカメラレンズ材で業界最高の屈折率

帝人をわずか「0.01」抜き「1.66」を達成。スマホや車載向けで攻勢をかける
シェアトップの意地。三菱ガス化学がカメラレンズ材で業界最高の屈折率

カメラレンズ材料用の特殊ポリカーボネート製品(イメージ )

 三菱ガス化学はカメラレンズ材料向けに、業界最高級の屈折率1・66を備えた特殊ポリカーボネート樹脂を開発した。屈折率が高いほどレンズの薄型化につながり、スマートフォンやタブレット端末の軽薄短小に貢献できる。自動運転に不可欠な車載カメラの需要も今後拡大するため、製品開発で競合他社に先行する。今夏から販売を本格的に始める。

 新開発のカメラレンズ材料は高屈折率とともに、約140度Cの耐熱性を持つ。光学性能以外の売りはポリカーボネートの特性を生かした高強度や金型成型のしやすさだ。スマホなどモバイル機器向けが当面の主要な用途だが、自動車向けの需要も狙う。

 三菱ガス化学は自動車部品メーカーなどの要求仕様に対応できるよう車載向けの開発を進める。既存製品を提案しつつ、樹脂の改良などに取り組む。例えば、車載用途でより求められそうな耐熱性のさらなる向上などが可能だ。

 2020年以降の自動運転の実用化に向けては歩行者検知や道路の白線追従、側方・後方の物体確認など多くの場面で画像認識が必要で、車載カメラの搭載数が飛躍的に増える見通し。

 一方で、スマホも搭載カメラ数が増加、カメラの高画質化で高性能なレンズ材料の引き合いが依然強く需要は堅調と予想する。
日刊工業新聞2016年6月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
高屈折率のカメラレンズ用樹脂市場は世界的に三菱ガス化学と大阪ガスケミカル、帝人の3社が競合しており、三菱がトップシェアとみられる。4月に帝人が屈折率1・65で耐熱性約150度Cのレンズ用樹脂を発表するなど、開発競争は激しくなっている。

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