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DARPA支援で開発中の「ステルスバイク」、走行音は電動歯ブラシ並み

ハイブリッド型で、エンジン燃料はガソリン・灯油・軽油どれでもOK
DARPA支援で開発中の「ステルスバイク」、走行音は電動歯ブラシ並み

ステルスバイクのSilentHawk

 軍事分野では戦闘機だけでなく、オートバイにもステルス機能が要求されているようだ。DARPA(米国防総省国防高等研究事業局)の主導で開発中の「ステルスバイク」のプロトタイプ2車種が、フロリダ州タンパで開催された軍事産業関係のイベントでこのほど公開された。「ステルス」というのはレーダーに映りにくいという意味ではない。ハイブリッド駆動で、モーター走行時には電動歯ブラシや室内での会話並みの音しか出ず、敵に捕捉されずに隠密に行動できる特徴を持つ。

 2種類のバイクはそれぞれ、ロゴステクノロジーズ(Logos Technologies、バージニア州)の開発する「サイレントホーク(SilentHawk)」と、LSAオートノミー(LSA Autonomy、メリーランド州)の「ナイトメア(NightMare)」。長距離移動ができるようハイブリッド駆動機構を備え、エンジン走行時に出る音は電気掃除機並みの75デシベルだが、リチウムイオン電池によるモーター走行時は55デシベルしか出ない。

いずれも前後輪とも駆動する2輪駆動で、砂利道や砂地、森の中など、通常の軍用バイクには厳しいルートでも走破できる。サイレントホークの開発責任者によれば、「腕の立つライダーなら、このバイクで地球上のどこでも行ける」という。しかも、エンジンは燃料を選ばないマルチ燃料タイプで、ガソリンからジェット燃料、灯油、軽油と幅広く使える。

2つのうち、サイレントホークが重量350ポンド、ナイトメアが400ポンドとナイトメアが大型マシンの位置づけ。静粛性の高い電気モーターのみの走行はサイレントホークが2時間、ナイトメアが60マイルまで。サイレントホークは最高時速80マイル(128km)、1回での走行距離は170マイルとなっている。

DARPAが中小企業技術革新制度(SBIR)を使って資金支援した。現在、2社ともこのプロトタイプを使ってDARPA向けにテストを重ねている段階で、DARPAとしてはそれを見てさらに開発を進めるか判断するという。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
軍用バイクとして実際に使われるかどうかわからないが、静粛性やマルチ燃料といった機能は、ハイブリッド車や発電エンジンに応用できるかもしれない。

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