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高級ファンシーペーパーを中国へ。特種東海が「特殊紙」で他社と差別化

国内の紙市場縮小。意匠性を前面に海外展開進める
高級ファンシーペーパーを中国へ。特種東海が「特殊紙」で他社と差別化

色や模様を中国人の好みに合わせたファンシーペーパーを輸出する

 特種東海製紙は意匠性を持たせた特殊紙、ファンシーペーパーで中国市場開拓に乗り出す。用途として想定するのは化粧品など付加価値が高いコンシューマー商品のパッケージ。中国仕様の高級ファンシーペーパーを日本国内で生産し、2012年に資本・業務提携した台湾の中日特種紙の代理店網を通じて販売する。すでにサンプル提供を始めており、17年度から本格輸出する計画だ。

 ファンシーペーパーは抄紙時に染色繊維を混ぜ込んだり、エンボス加工したりして意匠性を出す。特種東海の伝統分野で、偽造防止や耐水・調湿といった各種機能紙とともに特殊紙事業の柱になっている。商品パッケージのほか装丁、文具などに使われる。

 製紙業界は国内紙市場の縮小を受けて海外展開に動いており、同社も4月1日付の機構改革で「海外事業推進センター」(海外事業本部に改称予定)を新設した。

 競合他社と差別化できる製品として特殊紙に焦点を絞り、まずファンシーペーパーを中国市場に展開する。資本・業務提携先の中日特種紙は「中国国内に50社の販売代理店を持っている」(松田裕司特種東海製紙社長)という。

 ファンシーペーパーは国の文化レベルとともに市場性が高まり、中国や東南アジア諸国の潜在需要が大きくなっている。そこで「中日特種紙の販売ルートを生かせる中国を足がかりに偽造防止用紙などの機能紙を含め、海外事業展開を推し進める」(同)方針だ。

現在、特種東海は薄型ディスプレー(FPD)用ガラスの輸送や保管時に使われる合紙(機能紙)を輸出しているが、ファンシーペーパーについては国内代理店経由の一部を除きほとんど実績がない。

製紙業界、大手2社が減収へ


日刊工業新聞2016年5月16日



 主要製紙・段ボール7社の2017年3月期連結決算は国内洋紙市場の低迷が続き、総合大手の王子ホールディングス(HD)と日本製紙の2社が減収を見込む。その一方、段ボール・板紙が主力のレンゴー、衛生用紙に強みがある大王製紙、海外事業を急拡大している北越紀州製紙の3社は増収で、各利益段階の増益を予想。三菱製紙は増収で営業・経常増益、特種東海製紙は増収で営業増益となる見通しだ。

 印刷・情報用紙を中心とする国内洋紙市場で15年4月、各社は円安を背景とした原材料価格の高騰を受け値上げを実施した。だが、需要低迷に伴い「15年度下期からじわじわ下がり、値上げ前の状況に戻ってしまった」(首藤正樹三菱製紙取締役常務執行役員)状況。16年3月期は洋紙依存度の高い日本紙が減収で、各利益段階が減益となった。
日刊工業新聞2016年5月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
特種東海は日本製紙と段ボールの原紙事業を統合する。製紙業界は国内市場が厳しく今後は「非競争」領域での再編・撤退などが進む一方で、高機能材料でいかに海外基盤を作っていけるかが成長のカギ。

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