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進化する「置き薬」―顧客管理を紙からデジタルに

中京医薬品、営業システム刷新
進化する「置き薬」―顧客管理を紙からデジタルに

中京医薬品の配置薬

 【名古屋】中京医薬品は約3億円を投じ、家庭や事業所に常備する置き薬(配置薬)事業の営業システムを刷新する。2017年3月までに配置薬事業の全営業担当者に専用のタブレット端末を配布し、紙ベースだった従来の顧客管理を一から変える。現場のIT化に加え、約24万の顧客の利用頻度や傾向などのデータを収集し、新商品の開発などに生かす狙いだ。

 配置薬は家庭や企業などに「薬箱」を置き、販売員が定期的に訪問して医薬品の配達や代金回収などを行う事業。中京医薬品は薬メーカーなど約40社から主にOEM(相手先ブランド)で商品を調達し、販売している。

 従来は紙ベースの顧客台帳で情報を共有し、訪問時に受けた要望などは紙に書くなどしていた。今後はこれらをデジタル化し、顧客のニーズを定量的に把握し、新商品開発などにつなげる。

 山田正行社長は「営業担当者個人の力量に左右されることなく、会社全体でノウハウを共有したい」と話す。

 一方、国内の配置薬市場は人口減少などで縮小傾向という。このため、最近は配置薬に加え、健康食品やミネラルウオーター事業にも進出。さらに従来の地盤であった中部や九州地方だけでなく、今後は関東でも営業体制を強化する考えだ。14年に開設した川崎営業所(川崎市多摩区)に続き、3年以内をめどに神奈川県内で複数の営業拠点の設置を検討している。
日刊工業新聞2016年5月26日 ヘルスケア面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
置き薬を見ることも少なくなってきましたが、デジタル化によって新たな製品開発やサービスにつながることが期待されます。

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