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麺類用漬物で生き残りへ!縮小傾向に対し需要創造

「にんにく増し増し台湾まぜそば風味」と「同旨辛マヨ風味」
麺類用漬物で生き残りへ!縮小傾向に対し需要創造

新商品は麺類と比べるとパッケージが小さく目立ちにくいのが課題

 漬物市場が縮小傾向にある中、片山食品(新潟県新発田市、片山吉朗社長、0254・41・3110)は、麺類用の漬物で新しい市場の開拓を進めている。これまでの漬物コーナーではなく、麺類コーナーに商品を陳列し、新たな需要を掘り起こす。商品企画室の天尾裕室長は「新しい顧客を増やさなければいけない。これは社内の共通認識だ」と積極的に取り組む方針だ。

コメの需要減少


 漬物といえば白飯だが、農林水産省によると2014年7月―15年6月の1年間で、主食用米の需要実績は13年7月―14年6月比0・5%減の783万トンだった。調査を始めた1996年7月から97年6月までは944万トンで、年平均約8万トンずつ需要が減少している。

 主食用米の需要減少に伴い、漬物の生産量も減少している。食品需給研究センターによると、91年は120万412トンだったが、13年は71万8923トンとなった。この原因について全日本漬物協同組合連合会は「コメの消費量が減少したほか、食の多様化が進んだためだ」と分析する。その上で「漬物の健康性と機能性をアピールする必要がある」と強調する。

「漬物売り場だけにしがみついていてはいけない」


 こうした状況を背景に片山食品は「漬物売り場だけにしがみついていてはいけない」(天尾裕室長)と、新たな商材として「にんにく増し増し台湾まぜそば風味」と「同旨辛マヨ風味」を開発した。刻みニンニクをベースにしており、まぜそばやラーメン、焼きそばにかけるものだ。実勢価格は約220―230円(消費税込み)。

 発売してから3カ月が経過し、課題が見えてきた。まずパッケージの大きさが縦90ミリ×横90ミリ×高さ55ミリメートルで、麺類と比べると小さく、目立ちにくいことだ。また、今までになかった商品だけに、消費者が、どのような味がするのか想像しにくい。

 天尾室長は新商品の売れ行きについて「まだまだだ。まず1度食べてほしい」と訴える。今後、ITを駆使した拡販策に取り組む計画だ。

 一方、天尾室長は漬物業界について「よくて現状維持。何もしなければ売上高は減少する」と分析し、危機感を持つ。

 経営環境が厳しい中、片山食品の15年8月期の売上高は、前期比0・9%増の37億2500万円と堅調に推移している。

 これは新商品の発売を春夏、秋冬の年2回から春、夏、秋、冬の同4回に増やすなど商品戦略を見直した結果だ。国内の漬物市場が縮小傾向にある中、生き残るためには需要の創造が求められる。
(文=新潟支局長・中沖泰雄)
日刊工業新聞2016年5月25日 建設・エネルギー・生活2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
和食ブームに乗って漬物も海外で人気が出ていそうですが、インバウンドや輸出に関してはどうなのでしょうか?

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