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三菱自の日産傘下入り。部品メーカーはどう見たか

歓迎する声が大半。一方で調達先見直しの懸念も
三菱自の日産傘下入り。部品メーカーはどう見たか

ゴーン社長と益子会長

 三菱自動車が日産の傘下で経営再建を目指す動きについて、取引先の部品メーカーからは三菱自の信頼回復や軽自動車の生産を停止する水島製作所の雇用や地域経済に好影響を与えるとして歓迎する声が大半を占める。

 三菱自にエンジン部品などを供給する部品メーカーの幹部は、「三菱自に一刻も早く立ち直ってもらうのが一番。非常にプラスに受け止めている」。岡山県に拠点を持つ部品メーカーの社員は「水島製作所が維持されるのであれば大歓迎。地域経済にも良いことだ」とし、不透明な先行きに明るさが出てきたことを評価する。

 日産系の部品メーカーで三菱自とも取引がある部品メーカーの幹部は、日産主導で開発や調達が進む可能性があり、「三菱自との取引が増える期待感が大きい」。

 また日産が出遅れる東南アジア市場は逆に三菱自が存在感を示しており、「現地拠点の成長が期待できる」と海外事業への波及効果も期待する。

 GMBの阪口有一社長は「日産が主導する動きは当社にとって良い方向に働く」と話す。タイ合弁で三菱自向けに大きな需要があり、「日産向けが加わるなら非常に大きい。現在、日産の東南アジアはルノー経由で部品を調達している。そこで日産の力が強くなればありがたい」と歓迎する。

 一方で、不安も聞かれる。日産系の部品メーカーは「三菱自と取引が多い部品メーカーが競合先として日産の調達に加わるリスクもあるが、それよりもメリットの方が大きいとみている」。また岡山県の部品メーカーは「日産は外資系企業で結構思い切ったことをする会社なので、これまで通りの取引が続くかわからない」とし、三菱自が調達先の見直しに及ぶ可能性を懸念する。
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日刊工業新聞2016年5月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
水島製作所の関連企業も含めた雇用や地域経済にとってはひとまずプラス。ルノーを含めたグローバル最適生産、調達を考えると中長期ではサプライヤー間で優勝劣敗が起こるのは避けられないだろう。その前のサプライヤー同士に積極的な再編も必要か。

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