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トヨタがインダストリー4.0でドイツの通信規格を採用した先見性

ローカルネットワーク乱立もいずれつながる。取引先はこの流れに乗り遅れるな
トヨタがインダストリー4.0でドイツの通信規格を採用した先見性

独ベッコフが発売したIoT接続機器

 【ハノーバー=清水信彦】トヨタ自動車は工場の生産設備をつなぐネットワークの規格に「イーサキャット」を採用する。ドイツで開発・オープン化された通信規格で、高速性に加えて省配線化が可能。IoT(モノのインターネット)技術への対応が進んでいるため、工場自動化(FA)ネットワークの標準規格として採用を決めた。29日までドイツで開催中の「ハノーバーメッセ2016」会場でトヨタが明らかにした。今後導入する工場設備には、標準の通信規格として対応を求める。取引先には3月に通知した。

 トヨタは従来、日本電機工業会が策定した「FL―net」を標準として使ってきた。対応機器が日本製にほぼ限られており種類も少ないことや、IoT化対応の必要性などから次世代ネットワーク選定を進めていた。

 トヨタの大倉守彦先進技術開発カンパニー工程改善部長は「リーンな生産ラインを作るには間違いなく必要な技術。開発したのがドイツか日本かは関係なく、もっともいい技術を採用した」とした。

SAPやベッコフ、「IoT基盤の標準」で覇権争い


 IoT(モノのインターネット)の基盤(プラットフォーム)となる情報システムの標準をめぐる競争が激しくなっている。独SAPは他社のIoTシステムのデータを容易に扱えるシステムを提供。工場自動化(FA)機器大手の独ベッコフオートメーションもシステムの提供に乗り出す。IoTシステムは情報インフラとしての重要性が増すことは確実で、覇権争いは激しくなりそうだ。

 独SAPはIoTシステム基盤の新製品「SAPアセット・インテリジェンス・ネットワーク」を発表した。外部の複数のIoTシステムのデータをまとめて一つのシステム上で管理できる。複数メーカーが提供する鉱山機械とIoTシステムを使う鉱山会社が、それぞれのシステムからデータを取り込み、自社システムでとりまとめて活用する用途を想定する。

 独ベッコフオートメーションはIoTシステムに参入する。同社の主力はプログラマブルコントローラー(PLC)などの工場自動化(FA)機器。今回、「インダストリー4・0」の標準通信技術を使って、PLCを介さずに、インターネット上のIoTシステムにFA機器から直接データを送れる機器を発表した。

 現在は米マイクロソフトの「アジュール」やSAPの「SAP HANA」などのIoTシステム基盤に対応する。今後は自社でのシステム開発に乗り出す。IoTシステムは各社の新しいサービスがつぎつぎ生み出されており、相互運用性が問題になってくる。
日刊工業新聞2016年4月28日/29日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
トヨタとその取引先全体におけるEtherCAT採用で追い風に乗るベッコフオートメーションがクラウド連携がプリセットされたIoTデバイスなどを続々リリース。Industrie4.0推進効果かSAPも参入してきて乱立するローカルネットワーク化は、さながらインターネット黎明期を見るよう。とするとインターネットの発展で証明されたように、ローカルネットワークはオーバーレイネットワークでいずれ繋がる。現時点で懸念されたとしてももはや時間の問題。取り組まないことの方が将来ネットワークに乗り遅れる。

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