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熊本地震の影響やいかに?2015年度の訪日客、初の2000万人突破

 観光庁は20日、2015年度の訪日外国人数が前年度比45・6%増の2135万9000人となり、初めて2000万人を突破したと発表した。暦年では1974万人とわずかに届かなかったが、3月は花見シーズンやイースター休暇などで前年同期比31・7%増の200万9500人と、単月で初めて200万人を突破。16年も拡大傾向が続くことが寄与した。

中国からは49万8100人


 同日会見した田村明比古観光庁長官は「新しい目標に向かって走りだしており、特に感慨はわかない」と述べ、2020年に4000万人という次の目標に向け、取り組みを加速する姿勢を示した。4月は中華圏の清明節などの連休があるが、田村長官は「熊本地震の影響は少なからずある」と今後の動向を注視する姿勢を示した。

 3月単月では、国や地域別では、中国が同47・3%増の49万8100人でトップ。香港、フィリピン、米国、カナダ、英国、ドイツが単月として過去最高を記録した。

 また同日、1―3月の訪日外国人旅行消費額が前年同期比31・7%増の9305億円になったと発表した。5月から消費税免税制度の最低購入金額を引き下げるなど、さらなる消費額の拡大に向け、施策を強化する。

観光庁長官「正確な情報発信に努める」


 観光庁の田村明比古長官は20日、熊本地震で観光客のキャンセルなどが相次いでいることを受け、「影響を最小限に抑えるため、正確な情報発信に努めたい」と述べた。九州の温泉地は韓国や台湾など、近隣国を中心に人気が高く、一部の旅行会社ではすでに数千人のキャンセルが出ているという。

 また、災害発生時の訪日外国人への対応について「外国人が来ることを前提に自治体の防災計画を見直す必要がある」とし、情報の多言語化などを強化する方針を示した。
日刊工業新聞2016年4月21日付総合2面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
温泉や食材といった観光資源に恵まれた九州地方だけに影響が長期化することが懸念されます。

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