熟練溶接士が足りない!金属加工の中小企業が初めてロボットを導入した日

<ホーユーウエルディング>従業員25人の町工場が時代の先を行く挑戦

 従業員25人前後の町工場がロボットの活用に挑戦―。各種金属加工を手がけるホーユーウエルディング(兵庫県伊丹市)は、人手不足対策、品質向上などを目的に溶接ロボットを初めて導入した。システム構築(SI)企業の協力を得て、中小企業ならではの少量多品種生産に対応する仕組みを確立。大規模工場で使われることが多い産業用ロボットの新たな可能性を引き出している。

作業者によって品質にばらつき


 「熟練溶接士の不足により、現場では作業者が違うと溶接品質に差が出るようになっていた」。豊枡コズエ取締役はロボット導入に至った背景をこう説明する。高齢化により技能者の引退が相次ぐ一方、若手で溶接に携わる人材は数が限られる。2006年の創業以来溶接技術をベースに成長してきた同社にとって、担い手不足は深刻な問題になっていた。

 そんな折、救いの手を差し伸べたのがロボットSI企業の高丸工業(兵庫県西宮市)だ。多関節型の産業用ロボットを用いた溶接システムを、ホーユーウエルディングに紹介した。「ロボットは大企業が使うものだと認識していた」と豊枡取締役。思わぬ提案だったが、他に方法がないこともあり、新たなチャレンジを決意した。

 ロボット化の対象は、車両用大型厚板部品の溶接工程。「(同部品は)比較的溶接工数が多く、類似した形状の案件がよく出るので自動化しやすい」(豊枡取締役)として導入先に選定した。ダイヘンの汎用多関節ロボット「FD-B4L」とアーク溶接機「WB-M500」に専用の2軸ポジショナーを組み合わせ、システムを構築。ロボットが片面を溶接し終わると、ポジショナーがワーク(加工対象物)を反転させ、裏側の溶接に入る仕組みだ。

本溶接をロボットに、仮溶接に時間をかけ生産性高まる


 導入後、狙い通り品質は安定化した。「以前に比べ、作業員による仕上がりの差がなくなっている」と豊枡取締役はほほえむ。加えて、生産性改善の効果も大きい。これまで1個3時間近くかかっていた作業時間は2時間程度まで短縮された。

 「ロボットが本溶接を行ってくれるので、逆に仮溶接には従来比1・5倍の時間をかけられるようになった。全体的に効率が高まり、かつては1日2個くらいしか製作できなかったが、現在は1日3・5個程度にまで能力が高まっている」(同)という。

 また、現在ポジショナーで自動化しているワークの反転は、これまで人がクレーンで行っていた作業。クレーンによる危険作業がなくなり、就業環境改善につながっていることもメリットの一つだ。

 現状では動作プログラムの切り替えにより、2種類のワークに対応可能。今後は作業者の慣れとともにプログラムを増やし、さらに少量多品種型のシステムにする方針だ。

ニュースイッチオリジナル

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