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自動運転車の国際カーレース開催へ、米エヌビディアのAIコンピューター標準採用

最高時速300km以上で、ソフトウエアの優劣競う
自動運転車の国際カーレース開催へ、米エヌビディアのAIコンピューター標準採用

ロボレース用のレースカー(Nvidia提供)

 年内にも開催される自動運転車による世界初の国際スピードカーレース「ロボレース(Roborace)」で、競技車両に米エヌビディア(Nvidia)の人工知能(AI)用コンピューター「Drive PX2」が標準装備されることになった。アップルのMacBook Pro150台分に相当する毎秒8兆回の浮動小数点演算、24兆回の処理実行性能を持ち、自動運転車に取り付けられたレーダー、ライダー(レーザーレーダー)、カメラで収集された周辺情報や、GPS、高精度デジタル地図の位置情報をリアルタイムに処理できる。

 ロボレースは、電気自動車(EV)版フォーミュラ1(F1)として開かれている「フォーミュラE」の2016/2017シーズンに合わせて、フォーミュラEと同じサーキットを使って開催される予定。10チームが1時間にわたってレースを行い、1チーム2台ずつマシンを持つ。レースカーおよび搭載ハードウエアはまったく同一だが、各チームが開発する自動運転ソフトウエアだけが違い、カーレースでその優劣を競う。

 提供されるレースカーは、SF映画「トロン:レガシー」「オブリビオン」などの車両デザインを手がけたドイツ人デザイナー、ダニエル・サイモン氏によるもの。ロボレースを支援する英投資会社のキネティック(Kinetik)が製造し、時速300km以上の速度で走行できる能力を持つという。

 国際自動車連盟(FIA)主催のフォーミュラE自体は、10月から翌年7月まで、北京、マレーシア・プトラジャヤ、ウルグアイ・プンタデルエステ、ブエノスアイレス、メキシコシティ、米ロングビーチ、パリ、ベルリン、モスクワ、ロンドンという世界10都市のサーキットで順次開催される。

 エヌビディアは得意のグラフィックスプロセッサー(GPU)技術を生かし、画像処理分野だけでなく、スーパーコンピューターやAI用コンピューター向けの事業を強化中。Drive PX2は1月に米ラスベガスで開かれた「CES」で発表され、ボルボが同じ技術を自動運転車に搭載し、2017年にスウェーデンのイェーテボリでの試験走行を予定している。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
自動運転のレーシングカーは、たぶん人間のレーサーの走行データをもとに加減速やコース取りなどのノウハウもプログラミングすることになるのだろう。ただ、もしかすると、世界トップ級のプロ棋士を負かした「アルファ碁」と同じように、これまでのレースの定石を打ち破る自動運転車ならではのAI走法が登場するかもしれない。

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