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アマゾンとMS、独自動車傘下のヒアにクラウドサービス提供で協議とロイター

自動運転車のカギとなるデジタル地図、アマゾンやフォードは出資も検討
アマゾンとMS、独自動車傘下のヒアにクラウドサービス提供で協議とロイター

ヒアの3Dマッピング車

 デジタル地図事業を手がけるドイツのヒア(HERE、ベルリン)に対し、アマゾンとマイクロソフト(MS)がクラウドサービスを提供することで協議しているとロイターが1日報道した。ヒアは自動運転車でカギとなる高精度3次元地図の作成技術を持ち、アウディ、ダイムラー、BMWというドイツの3大高級車メーカーの傘下にある。ロイターが関係者の話として伝えたところによれば、アマゾンはヒアへの出資も検討しているという。

 フィンランド・ノキアの地図事業部門だったヒアに対しては、自動運転車への進出をにらむIT企業も加わった激しい買収合戦が繰り広げられ、2015年夏に独自動車メーカー3社が連携する形で25億ユーロでの買収に合意、12月に買収が完了した。アマゾンなどが提供するクラウドサービスは、ヒアの3Dマッピング車や独自動車3社のクルマに取り付けられたセンサーが収集する大量のデータを処理し、デジタル地図データベースを作成したりするのに活用されるものとみられる。

 新しい株主となった独自動車連合はデジタル地図の開発・作成コストを抑える意味からもオープン戦略を打ち出し、他の自動車メーカーやIT企業に対してコンソーシアムへの参画を要請。ロイターによれば現在までに仏ルノーや、自動車部品大手の独コンチネンタル、米フォード・モーターもヒアへの出資に関心を示しているという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
ヒア買収をめぐってドイツの自動車メーカーが恐れていたのは、自動運転車への参入をもくろむグーグルやアップル、中国・バイドゥといった大手IT企業の手にヒアの技術が渡ってしまうこと。アマゾンやマイクロソフトならAWS、アジュールといったクラウドサービスを全世界で展開する一方、自動車で競合する心配がない。ここでもグーグルに付け入る隙を与えない方針を貫いている。

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