《加藤百合子の農業ロボット元年#08》私も開発に携わっていきます!

知識・知恵を共有するオープンイノベーションが農業を盛り上げる

 「知の集積と活用の場」、農林水産省が立ち上げ準備をしている知識や知恵を共有する場だ。農林水産業が抱える課題を内外で広く共有し、課題を解決したい、もしくは、解決できるという人々や企業が自然発生的にチーム化することを狙っている。いわゆるオープンイノベーションである。

 これまで、日本は高度成長期の成功体験から、すっかり各企業、各業界のそれぞれの殻に閉じこもり、硬直化してしまった。農林水産業は地域に閉じこもってきた。その間に国外では、米グーグルや米フェイスブックなど情報プラットフォームをはじめとし、クラウドファンディングでの商品開発、米ウーバーや米エアビーアンドビーといった、これまでの既存業界のあり方を軽々と変えてしまうITを活用したサービスが急成長している。

 さらには、GEという世界的なものづくり企業であってさえも、オープンイノベーションによる新陳代謝の促進に力をいれている。そしてようやく日本も、農林水産業において業界単独、企業単独では乗り越えられないと気づいての、今回の動きのようだ。

 事実、これまで生産性が強く求められてこなかったため、人手不足が生産量の減少に直結している。このまま減り続ければ、生産量減少で高騰するか、海外での生産が増え、自給率はさらに下がる可能性もある。そのような危機的な状況に対し、まだ課題解決の方向性は定まっていないのが現実である。

農業ロボットの国内市場はせいぜい5000億円


 理由は農林水産業をとりまく社会システムにも要因はあるが、そもそも不確定性の高い対象であることに起因する面も大きい。植物や土壌について、その因果関係においてわかっていないことが多い。

 また、天候に大きく左右されるのだが、日本の複雑な地形に影響を受けるローカルの天候は読み切れない。その上、年1作の物や、植えてから結果がでるまでに3―5年かかる果樹や茶のような品目も少なくない。

 よって、1社が牛耳るクローズドな方法では時間と費用がかかり過ぎるのだ。一方、市場規模はというと、農機メーカーの出荷額ベースで農家の必需品であるトラクターで国内1500億円、農業機械全体で4000億という市場規模である。

 人件費から農業ロボットへの経費振り替えが行われるとして、農業ロボット市場が最大限に成長したとしても国内は5000億くらいではないかと推察している。よって、開発が難しい割に国内市場は小さいと言える。

 オープンイノベーションにより、品目ごとや農業のサイズにより市場が分かれていくのかもしれないが、どのチームがどのような解決方法を提示してくるか、今後の展開が楽しみである。
(おわり)

加藤 百合子

加藤 百合子
03月25日
この記事のファシリテーター

今回で農業ロボット元年最後になりました。お付き合いいただき、ありがとうございました。ここ1,2年は日々の活動の中で、農業への関心の高まりが感じられ、嬉しい限りです。既存プレーヤーと新規参入プレーヤーが共創と競争、うまいバランスをみつけ、農業が一層盛り上がることを期待しています。私も開発に携わっていきます!

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