あごの骨、手術せずに注射で増やす

東京医科歯科大などの研究チームがマウスで成功。歯科臨床への応用に期待

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の青木和広准教授らは、手術をせずに薬を口の中に注射してあごの骨を増やす手法をマウスで開発した。あごの骨が足りずに人工歯根を植えられないような場合、現在は人工材料を埋め込んだり、自分の骨を他の部位から移植したりする手術が必要になる。注射だけで骨を増やせるようになれば患者の体にかかる負担を軽減できる。

 京都大学再生医科学研究所、米シーダーズ・サイナイ研究所との共同研究。今後ウサギやイヌなどの大型動物で同手法を試すとともに、製薬会社などと連携し10年以内に臨床研究の実施を目指す。

 注射した薬剤は、骨の形成を促すたんぱく質「BMP―2」と、アミノ酸11個が塊となったペプチド「OP3―4」の2種類を組み合わせた。BMP―2はすでに米国で一部実用化されているが、歯肉が腫れるなどの副作用が指摘されている。実験ではBMP―2の使用量を抑えるため、同様に骨の形成を促進する効果のあるOP3―4を併用した。

 注射した場所に薬が長く留まるように、直径約20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のゲル状の粒子にBMP―2とOP3―4を結合させ、マウスの上あごに注射した。注射から4週間後の骨の造成を観察したところ、BMP―2だけを使った場合と比べ、OP3―4を併用した場合は新しい骨の量が2倍以上に増えた。

 成果は22日、国際学術誌ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ電子版に掲載された。

日刊工業新聞2016年3月23日 科学技術・大学面

斉藤 陽一

斉藤 陽一
03月24日
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 画像だけをみると「こぶ」のように膨らんだ部分が生涯消えずに残ってしまうのか、少し心配になりますが、青木准教授によると「注射で造成した骨のうち、入れ歯を入れたり人工歯根を植えたりした部分だけが『必要』とみなされて定着する。余分な骨は『不必要』とみなされて時間が経つと溶けてなくなる可能性が高く、こぶのように不自然に膨らんだ状態は解消されるとみている」とのことです。

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