アミノ酸波消しブロック、「防災と環境対策」の両立利点にアジアへ輸出へ

日建工学、「アルギニン」をコンクリート重量比3%に配合。全国の設置80カ所に

 日建工学のアミノ酸入り素材「環境活性コンクリート」で作った波消しブロックの設置が全国の海や川で80カ所になった。水中でアミノ酸が生物の栄養となり、ブロック表面に藻類が多く育つ。魚も集まりやすくなり、食物連鎖が生まれるという。高潮から人命を守る防災と環境対策を両立するブロックとして、官公庁や漁業組合などに提案するほか、アジアの新興国へ輸出も目指す。

 環境活性コンクリートは、アミノ酸の一種「アルギニン」をコンクリートの重量比3%に配合した。通常なら有機物を混ぜるとコンクリートは固まりにくくなり、強度に問題が出る。日建工学は味の素、徳島大学との共同研究により、アルギニンを入れても強度に問題がないことを確認し、2010年に事業化した。

 3%の配合量でも、ブロックに生えた藻の成長速度は普通のコンクリートよりも5―10倍速い。光合成の色素「クロロフィルa」も3倍多い。

 日建工学の行本卓生社長は「5―10年の時間をかけてゆっくりとアルギニンが溶け出す」と特徴を付け加える。魚が食べたり、荒波や増水で藻がはぎとられたりしても、少しずつ溶けるので藻が復活する。

 80カ所に設置してみると地域による気候の違いにも左右されないことも分かった。寒冷な北海道の海では昆布やワカメが、沖縄ではサンゴが育った。川ではアミノ酸を目当てに集まったアユのすみかになっている。中西敬技術部長は「漁業組合が漁場を作るためにブロックを置くこともある」と話す。

 高潮や津波を防ぐためにブロックを敷くと、どうしても自然が失われる。「少しでも環境にプラス側へ持っていける」(行本社長)効果が認められ、設置が全国に広がった。

 アジアの新興国にも目を向ける。津波や洪水対策が必要になっても「経済性だけでコンクリートを選んでしまうと、どんどんと生物多様性が失われる。環境活性コンクリートを生物多様性の保全と両立した開発を考えるきっかけにしてほしい」(同)と語る。

 コンクリートは自然破壊の象徴のように見られがちだが、防災で必要な場面もある。”日本発“の素材として輸出が実現すれば、防災と環境の両面で国際貢献ができる。

日刊工業新聞2016年3月14日環境面
日刊工業新聞社電子版

松木 喬

松木 喬
03月17日
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アミノ酸とコンクリートの組み合わせにひかれ、取材しました。意外にも相性がよく、コンクリ表面で植物が良く育つそうです。鉄鋼メーカーが鉄スラグで魚礁を作ることもやっています。今年は生物多様性条約のCOP13があります。名古屋であったCOP10の時のように盛り上げたいです

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