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ブラジル・ウジミナス再建正念場。新日鉄住金は増資受け入れへ

最大10億レアル(約300億円)引き受けると発表。世界戦略で欠かせない拠点なのかを問われる
ブラジル・ウジミナス再建正念場。新日鉄住金は増資受け入れへ

ウジミナス経営陣は資産売却などで資金を捻出しようとしているが…(イパチンガ製鉄所)

 新日鉄住金の持ち分法適用会社でブラジルの鉄鋼大手、ウジミナスが経営再建へ正念場を迎えている。11日(現地時間)に日本の取締役会にあたる経営審議会を開き、新たな資金調達策を決める予定。新日鉄住金は増資を引き受ける方針だが、もう一方の大株主であるアルゼンチンの鉄鋼大手、テルニウムとの対立が尾を引き、詳細な枠組みの決定はギリギリまで難航しそうだ。

鉄不況でテルニウムと休戦


 ウジミナスは当初、3日にも経営審議会を開く予定だった。約1週間の延期が協議の難しさを物語る。新日鉄住金とテルニウムはウジミナスの経営の主導権をめぐり、2014年から対立が続く。この間、中国を震源とする世界的な鉄鋼不況が一層深刻化。「お互い自分たちのことで手いっぱい。ウジミナスについては自然と休戦状態になった」(新日鉄住金首脳)。

 だが、ブラジル経済の低迷も重なり、ウジミナスの業績はさらに悪化。資金不足で当座の借入金の返済も困難になっている。返済期限も迫っており、再建には両大株主の関係正常化が避けられなくなっている。

 現地紙などの報道によると、一部の取引銀行が両株主に資金拠出を要請しているが、厳しい業績下のテルニウムがこれに応じるのは困難な情勢にあるという。新日鉄住金は10億レアル(約300億円)の追加出資を用意。テルニウムにも応分の拠出を求めているが、拒否された場合は、その分、テルニウムの持ち株を買い取ることも議題の一つに上がったようだ。

株主間対立、難航は必至


 もちろん、その規模や買い取り価格をめぐっても難航は必至。ウジミナス株の下落で、テルニウムは持ち株の評価替えを何度も迫られ、その価値は出資時の約10分の1まで落ちているという。

 もし両社が追加出資で合意できなければ、取りうる手は借り換え融資の債務保証などで当面の危機を回避する程度。とはいえ、「ブラジルの基準金利は14―15%。製造業の経営環境としては非常に厳しい条件下にある」(新日鉄住金の太田克彦副社長)ため、根本解決にはならない。現地報道では、ウジミナス業績悪化の一因として「株主間対立で経営が機能していない」との見方もある。仲介する地元の州政府も、両社による新たな株主間協定の締結が再建に欠かせないと指摘している。
(文=大橋修)
2016年3月10日 素材面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
中国発の「鉄冷え」が世界で猛威を振るっている。世界の主要プレーヤーが急速に業績を悪化させる中、高級鋼で差別化を図ってきた日本勢は傷が浅く、相対的に存在感を増している。ウジミナスは新日鉄住金が設立に協力するなど縁は深いが、経営のパートナーであるテルニウムと経営の主導権争いを繰り広げているうちに、経営危機に陥った。テルニウムも自身の経営が苦しい。新日鉄住金が増資分を全額出資するとなれば、ウジミナスへの影響力は高まることとなる。だが、問題はウジミナスに長期間技術供与をしながらも、十分なコスト競争力と技術力を発揮できていない点だろう。新日鉄住金が世界戦略を進めるうえで、欠かせない拠点なのかもしれないが、増資に見合う効果を引き出せるかが、焦点だろう。

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