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GMが自動運転車の開発加速、ベンチャーの米クルーズ買収を発表

米リフトとの提携で、将来は無人配車サービスも
GMが自動運転車の開発加速、ベンチャーの米クルーズ買収を発表

屋根のステレオカメラやレーダーで前方の状況をモニターするクルーズの自動運転キット(ユーチューブ映像から)

 米ゼネラルモーターズ(GM)が自動運転車の開発と事業化に躍起になっている。11日には自動運転関連のスタートアップ、米クルーズ・オートメーション(Cruise Automation)の買収を発表。これに先立って、1月には米ウーバーのライバル企業で配車サービスを手がける米リフト(Lyft)に5億ドルを出資し、事業協力にも乗り出した。自動運転車をめぐる開発競争が過熱する中、クルーズの技術や人材を取り込んで開発を加速するとともに、近い将来、無人配車サービスの事業化も狙う。

 「顧客の日々の移動ニーズに対して、完全自動運転車は利便性と低いコスト、安全性の向上をもたらしてくれる」。GMのダン・アマン社長はプレスリリースの声明でこう述べ、クルーズ買収による自動運転車の開発体制強化に期待を示した。

 GMは今回の買収額を明らかにしていないが、フォーチュン誌が関係者の話として伝えたところによると、10億ドル以上になる見通し。クルーズのサンフランシスコ本社は今後、GMの自動運転開発チームの独立部門として運営される。クルーズのウェブサイトではそれまでの情報が削除され、自動運転車関連のエンジニア募集しか掲載されていない。

 クルーズは2013年に設立され、従業員40人。アウディA4や同S4といった既存のクルマに後付けし、高速道路で自動運転を実現化するキットを開発している。シリコンバレーのスタートアップインキュベーターとして有名なYコンビネーター(YC)の支援企業で、YCから出資も受けている。ベンチャーキャピタルからの出資も含め、これまでの資金調達総額は1800万ドルに上る。

 一方、GMは1月にリフトに出資し、株式の50%を取得するとともに戦略提携関係を結んだ。GMはそれに続いて、米国各地でカーシェアリングを行う事業会社のメイブン(Maven)も立ち上げている。

 クルーズ創業者のカイル・ヴォクト(Kyle Vogt)氏は、ゲームなどのライブストリーミング配信サービスを提供するトゥイッチ(Twitch)の共同創業者。トゥイッチは2014年、アマゾン・ドット・コムに9億7000万ドルで売却されている。

「Cruise RP-1」のデモ映像
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
AI(人工知能)、コンピュータービジョン、ソフトウエア、セキュリティー...分野ごとの人材募集が並んだクルーズの新しいウェブサイトを見る限り、シリコンバレーでのエンジニア獲得競争がさらに熱を帯びそう。条件にもよるだろうが、勤務地はサンフランシスコだし、自動運転車を手がけるテスラ、グーグル、アップルなどからの一部人材流出につながるかもしれない。

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