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Robot mechanism#03 日本精工のアンギュラ玉軸受

髙い剛性強みに、転動体2列配置
Robot mechanism#03 日本精工のアンギュラ玉軸受

ロボット用アンギュラ玉軸受

 機械の内部で回転軸などを支える軸受。ロボットにも数多くの軸受が搭載され、安定した連続動作を可能にしている。世界屈指の軸受けメーカーである日本精工は、ロボット向けでは約3割のシェアを持つ。減速機、モーターといった重要部品に採用され、ロボット産業にとって欠かせない存在となっている。

 「2016年3月期の販売は、前期実績から10%近く伸びた数字になるだろう」と松原正英代表執行役専務はロボット向けの受注状況を分析する。中国、米国などでの需要増により、産業用ロボットの販売は拡大基調が継続。これにより、同社への注文も順調に増えているという。

 ただ「シェアはもっと高められるはず」と松原専務は断言する。多くの軸受がロボットに使われているが、参入できていない箇所もあるという。こうした状況を受け、戦略製品として打ち出しているのが、複列タイプのアンギュラ玉軸受だ。

 ターゲットは競合他社が得意とするクロスローラー軸受からの置き換え用途。同軸受はロボットの減速機や旋回軸の主要部品として普及している。これに対し、同社のロボット用アンギュラ玉軸受は転動体を2列に配置しており、剛性の高さなどが強み。「新規設計の減速機などに当社の軸受を提案している」(松原専務)という。

 ロボット用減速機は需要増の影響で新規参入が活発。変革期にある市場で同社の戦略製品がどれだけ採用されるかに、注目が集まる。
(文=藤崎竜介)
日刊工業新聞2016年3月11日ロボット面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
クロスローラー軸受はTHKと日本トムソンが大手。従来の産業用ロボット向けで2社の牙城を崩すのは簡単ではない。それだけに「人と協働するロボット」やサービスロボットなど、次世代領域をどれだけ攻略できるかがポイントになる。 (日刊工業新聞社編集局第一産業部・藤崎竜介)

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