2050年、FCバルセロナに勝てる自律型ロボットのチームを作る!

ロボット研究のメッシが必要。「競技に勝つ」 は技術力指標に

 ロボカップの世界大会が、2017年に名古屋で行われる。ロボカップは、92年の構想から97年の第1回世界大会を経て、24年も継続して拡大し続けている競技大会である。

 日本のロボット研究者が中心となって設立された、「西暦2050年にサッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」という夢に向かって人工知能やロボット工学などの研究を推進し、さまざまな分野の基礎技術として波及させることを目的とした「ランドマーク・プロジェクト」(ロボカップHPより抜粋)のことである。

 毎年、日本大会と世界大会が行われ、日本大会が実質的な日本の選抜チームを決める予選的な扱いであり、世界大会に向けての切磋琢磨(せっさたくま)が行われる。チーム対抗戦であり、このような競技の場に出ることによる人的ネットワークのつながりと、競技に勝つことによる栄誉を勝ち取ることができることがロボット研究者としての一里塚になることもある。

ロボカップの名誉と意義


 ロボカップは、ロボットがサッカーを行うロボカップサッカー、ロボット技術を災害救助に役立てるための競技であるロボカップレスキュー、日常生活の場に役立てるためのロボカップ@ホームの3種目からなる。

 3種目の性格は異なるものの、エンターテインメント性と社会に役立てるための競技の工夫が随所に盛り込まれている。ただし、難易度は、50年の目標が示すようにかなり難しく、ゼロ点近傍の参加者も多いと聞く。難しいからこそチャレンジのしがいもあり、ここで世界的な勝者となることは、研究機関の技術力の指標となる。

 このため、世界選に向けては、国からの支援を受け参加している海外参加者も多い。この競技大会に勝つことで、実質的なスポンサーから研究費として援助されるという事例もある。

数十万規模の研究者のたまごを育てよ


 忘れてならないのは、ロボカップジュニアといわれる、ジュニア向けの競技も用意されているという点だ。もちろん、競技そのものは、メジャー(シニア)向けに比べると難易度はやさしいが、ロボットに触れる機会があるということで、親子で積極的に参加すると聞いている。

 日本の支部だけでも数千人単位で、世界では、数万人から数十万人規模のロボット研究者のたまごたちがいることになる。これらのジュニア参加者が目指すのはやはり、メジャーで活躍している競技参加者である。

 子供からのかっこいいヒーローになることで、シニアの参加者たちも気が引き締まるだろう。ロボット技術の引き上げには、このような取り組みが不可欠である。
(文=三治信一朗)

<略歴>
NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット 産業戦略チームリーダー シニアマネージャー

日刊工業新聞2016年3月4日ロボット面
日刊工業新聞電子版

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
03月07日
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日本が中心となって立ち上がったロボカップだが、近年は海外の参加チームが右肩上がりで増えているという話を以前に聞いたことがある。自国のロボット技術を高めるのがその狙いだという。ロボコンもそうだが、競技会は技術者育成に有効だ。運営方法はもちろん、より周知してさらに魅力的な大会にすることが必要だろう。我々もその一翼を担えれば。

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