遺言信託2.5倍に。野村証券、相続関連ビジネス伸びてます!

新しい成長エンジン、既存資産の流出を防ぐ狙いも

 野村証券の相続関連ビジネスが急拡大している。グループの野村信託銀行で遺言信託事業を始めたことなどにより、2015年度の遺言信託の受託件数は足元で前年度比2・5倍に増えた。相続関連の保険商品販売も大幅に伸びている。2025年度には団塊の世代が75歳以上となり相続市場の一層の拡大が見込まれる中、今後の事業成長に力を入れる。

 相続関連ビジネス拡大のため、本社内に専門部署を設置。全国の支店スタッフと連携し、顧客の相続相談に対応する。14年からは相続円滑化に向けたサービス「資産承継あんしんパック」を提供開始。相続に関心が高いシニア層に向けの情報提供型セミナーを開催するほか、野村信託銀行でも月20回というハイペースでセミナーを実施している。

 遺言信託事業については、従来は三井住友信託銀行や三菱UFJ信託銀行に委託していたが、15年4月から野村信託銀行でも取り扱いを開始。「遺言信託も、普段付き合いのある野村グループに頼みたい」という顧客ニーズを捉えた結果で、大幅な受託拡大につながっている。

 また、相続時に一部が非課税対象となる生命保険の販売額も大幅に伸びている。14年は約3200億円だったが、15年は1・4倍の4600億円に増加した。14年は全営業マンのうち約4割が保険契約を成立させ、15年は約5割が契約を成立。現場での相続ビジネスに関する取り組みが強まっていることが分かる。

 顧客の高齢化が進む証券業界では、相続をきっかけにした預かり資産の他社への流出が懸念されている。業界最大の預かり資産を持つ野村証券にとって、相続関連ビジネスは新しい成長エンジンであると同時に、既存資産の流出を最小限に抑える戦略でもある。

日刊工業新聞2016年3月2日金融面
日刊工業新聞電子版

日刊工業新聞 記者

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03月03日
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証券業界では、資産の多い高齢層は野村証券などの対面証券、資産の少ない若年層はネット証券で取引する傾向が強く、相続をきっかけに対面からネットに資産が流れる動きは決して少なくない。そのため対面証券にとって相続関連ビジネスは一丁一番地。野村証券のほか、大和証券やSMBC日興証券も体制強化を進めている。
(日刊工業新聞社編集局経済部・鳥羽田継之)

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