「実質0円」廃止から1カ月、携帯電話大手3社の新たな施策は?

 携帯電話業界の“書き入れ時”となる春商戦が本格化する。携帯電話大手3社は2月1日に実質0円を下回るキャッシュバックを廃止し、他社などから乗り換える新規と同番号移行制度(MNP)ユーザー向け端末を値上げした。あわせてNTTドコモは既存ユーザー向けの機種変更を値下げを実施、KDDIやソフトバンクも機種変更の施策を検討する。3社横並びの傾向が強い中で顧客の囲い込みだけではない新たな施策を打ち出せるか。

新規より安い機種変


 実質0円以下の端末販売を見直してから約1カ月。ドコモ端末が中心の携帯販売大手によると、1月の販売状況は端末の先高観から駆け込み需要が発生し増加。2月はその反動で減少し、1―2月累計で前年同期比横ばいを見込む。2月単月では新規・MNPが「前年同月比10―20%減」になる一方、機種変更の販売が緩やかに伸びているという。

 ドコモは2月1日から機種変更プランを値下げした。下げ幅は1万―2万円。新規・MNPの割引を減らした代わりに、機種変更を手厚くしユーザーを囲い込む戦略で販売を維持しようとしている。

 これを受け、店頭では「機種変更の価格が新規より安い」という今までなかった逆転現象も起きている。携帯販売大手はこれをチャンスと捉え、店頭でのPOP広告などで訴求する。しかし、「全く世の中に知られておらず、もっと気づいてほしい」と漏らす。現時点では3月までの施策となるため、早期に値下げの認知度を高めたい考え。

 一方、KDDIやソフトバンクは25歳以下のユーザーを対象にした「学割」キャンペーンなどを中心に顧客を取り込む。とはいえ、実質0円撤廃決定は痛手だ。シェアトップのドコモとユーザーの奪い合いができないとなれば携帯販売大手からの要請もあり、機種変更の値下げに出ざるを得ないと見られる。

先の成長は見込めるのか?


 「先が読みづらいものの、期待できる面もある」。携帯3社の認定ショップを展開する別の携帯販売大手は春商戦の見通しについてこう語る。2014年3月、総務省からMNP時の高額キャッシュバック廃止が指導されたことなどで端末の駆け込み需要が発生し、その規模は今年1月より大きかった。2年契約を終えたユーザーが動く可能性もあり「携帯各社は機種変更など魅力的なプランを出してくるはず」とみる。

 行き過ぎた値引き販売が是正され「正常な販売」に切り替わりつつある。しかし、現状の顧客を囲い込んでいるだけでは先行きの成長は見込めない。携帯各社は電力や保険、物販などを組み合わせた総合的なサービスの提供を始め、差別化と競争を進める戦略。その成否は市場活性化のポイントの一つになりそうだ。
(文=清水耕一郎)

日刊工業新聞2016年2月25日 電機・電子部品・情報・通信1面

昆 梓紗

昆 梓紗
02月26日
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携帯以外の総合的サービスで満足度を上げるのもよいのですが、たくさんのサービスが紐づくことをわずらわしく思う顧客もいます。携帯電話としての基本的な満足度を上げなければ、SIMフリースマホなどに流れていくように思います。

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