ジャパンディスプレイがシャープとの統合で描く戦略とは!?

亀山第2工場で中型パネル生産。“日の丸パソコン会社”と連携も

 ジャパンディスプレイ(JDI)が揺れている。“シャープ争奪戦”を制するのは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業か、政府系ファンド・産業革新機構か。その行方にJDIの経営は大きく左右される。有機ELパネル事業などと並び、焦点となるのは中型パネル事業だ。中型パネルを巡る戦略は、東芝など3社で検討が進む“日の丸パソコン”構想とも無関係ではない。

“インセルIGZO”から有機ELに展開


 8日、JDIが開いた2015年4―12月期決算説明会。シャープとの経営統合構想について問われた本間充会長兼最高経営責任者(CEO)は「特に中型では技術シナジーを出せて助かると思っていた」と語った。パソコンやタブレット端末(携帯型情報端末)に搭載する中型パネルでの事業展開だ。

 「亀2を使えないか」―。JDIの大株主でもある産業革新機構がシャープを支援し、液晶事業をJDIと統合させる構想が動きだした15年。JDIはシャープの亀山第2工場(三重県亀山市)を活用する案を練っていた。亀2は「IGZO(イグゾー)」と呼ぶ省エネ技術を応用した独自液晶の生産ラインが売りもの。また同ラインは「第8世代」と呼ぶ巨大ガラス基板を採用していることも特徴で、すでに米アップルのタブレット「iPad(アイパッド)」などの生産実績がある。

 JDIは亀2に、強みとする独自技術「ピクセルアイズ」を移植する構想を温めていた。ピクセルアイズは、タッチパネル機能を液晶に組み込むインセル技術。ユーザー企業にとっては液晶の薄型化やコスト削減のメリットがある。

 “インセルIGZO”を生産効率の良い第8世代ラインで生産し、機能と価格の両面でライバルを圧倒する中型パネルを量産する。JDIではこうした「1+1が2以上になる計画が検討された」(業界関係者)という。

 さらに夏頃になると革新機構やJDIが出資するJOLED(ジェイオーレッド)の幹部がシャープ本社付近で目撃されるようになった。JOLEDはソニーとパナソニックの有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネル事業が統合して15年1月に発足した。中型サイズに特化して事業を展開し、現在、生産技術を確立する作業を行っている。将来、量産ラインが必要になった際、「亀2を改良してJOLEDのラインとして活用する案も浮上した」(同)と明かす。

まだ諦めず?「日本連合で戦うべき」(本間CEO)


 JDIと競合するサムスン電子、韓国LGエレクトロニクスはともにグループ内でノートパソコンやタブレットを手がけている。パネルと完成品の両部門が一体的な戦略を描き、有機ELや4Kディスプレーの市場拡大を図れる強みがある。

 JDIとJOLEDにも有力なパートナー候補はいる。VAIO(長野県安曇野市)、富士通、東芝それぞれのパソコン事業を統合する“日の丸パソコン”だ。統合協議がまとまり3社が一緒になれば国内パソコンシェアは首位になる。しかし世界シェアはわずか6%程度に留まる。生き残るにはサービス、そしてハードウエアでも尖(とが)った存在感を示すことが不可欠となる。

 こうした状況下で、文字通りパソコンの顔であるディスプレーにおいて先端の中型パネルを供給できるJDI・JOLEDとパソコン統合会社は良きパートナーになり得る。

 8日の決算会見後に「日本連合で戦うべきだと思う」と語ったJDIの本間CEO。一時は鴻海優勢と見られたシャープ争奪戦は革新機構が巻き返す姿勢をみせる。もう一方のパソコン統合会社との連携も議論する価値はある。経済合理性の高い日本連合ならば、やる意味は大きい。
(文=後藤信之)
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日刊工業新聞2016年2月16日 電機・電子部品面
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明 豊

明 豊
02月16日
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パソコン向けの戦略が良いか悪いかは置いておいて、いっそ鴻海がシャープの液晶とJDIを一緒に買収してはどうか。革新機構と協力して。

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