カラオケ×ロボット−介護の救世主?第一興商とNTTがシステム実証試験

 カラオケがロボットとともに介護市場を開拓している。「DAM」の第一興商はNTT、「JOYSOUND」のエクシング(名古屋市瑞穂区)はソフトバンクと組んで、介護施設にロボットカラオケシステムを展開する。歌と体操、クイズを組み合わせ、楽しみながら健康増進を目指す。カラオケはコミュニケーションロボットのキラーコンテンツになり得るか。現場を追った。

おとぼけキャラに親しみ


 「みなさん。温まってきましたか」―。「ボクはモーターがポカポカしてきタヨ」。歌や体操で場が温まるとロボットが絶妙の合いの手をいれる。司会者とロボットがかけ合いながら会を盛り上げる。ロボットとの会話がずれても、そのおとぼけ具合がキャラの愛らしさを引き立てる。

 第一興商とNTTは介護施設のレクリエーション向けにロボットカラオケシステムの実証試験を進めている。介護現場では歌などのコンテンツ以上に、盛り上げ役の確保が課題だ。高齢者が会を楽しめるかどうかは司会者の腕次第。忙しい介護現場で、適正の高い人材を集めるのは簡単ではない。第一興商の山岸利英音楽健康指導士は「1人で場を盛り上げようと孤軍奮闘するのは誰だって辛い。ロボとのかけ合いなら少しぎこちないくらいが面白く、笑いに換えて進行できる」と説明する。

 エクシングもソフトバンクの「ペッパー」と介護施設向けシステムの実証実験を進めている。コンテンツは歌いながら体操するなど、負荷を8段階から選べるようにした。北村秀仁企画開発部長は「ペッパーが身ぶり手ぶりで盛り上げる。背丈も孫のようだと喜ばれる」という。

カラオケ以外とも連携


 ただロボットが人間の司会者に代わるまで時間がかかりそうだ。まだ音声認識は完璧でなく、場の空気を読むのは難しい。だが普通の人を引き立てて名司会者に変えてしまう魅力がある。デイサービスなど通所施設は高齢者に楽しんでもらうことが第一だ。カラオケの介護市場開拓を加速させるだろう。

 そしてロボットはカラオケだけにとどまらない。第一興商はNTTのIoT(モノのインターネット)連携基盤「連舞」でロボットとカラオケ、カメラをつないだ。レクリエーションを楽しんだ後は、みなで歌を歌っている笑顔の写真をプレゼントできる。写真をプリントするトースターと連携すれば、その後のご飯も楽しくなる。第一興商の門野坂功社長室副室長は「カラオケは人口の約4割が楽しむ最強のレジャー。カラオケと組めばロボットは介護現場の救世主になれるはず」と力を込める。
(文=小寺貴之)

<記者コメント>


 第一興商の山岸利英音楽健康指導士「愛称:トッシー」はエース級の司会者でした。本当に一瞬で女性たちの心を掴みます。進行の巧さに感心し、ロボットには絶対ムリだろうと思っていました。ですが、ロボットの拙さによってトッシーが栄えていたのです。それに気づいてからは、ピン芸人とコンビ芸人の違いなどを、ラジオ体操中に悶々と考えていました。

 高齢者施設のお年寄りは結構、心ないことを言います。ですがロボットには響きません。あとは人間が笑いに変えればOK。こんな「人-ロボ」協調タスクがあったのかと思う次第です。ロボット研究者からは出てこない発想です。NTTは良いパートナーを見つけたと思います。

日刊工業新聞2016年2月12日 ロボット面
日刊工業新聞電子版

昆 梓紗

昆 梓紗
02月13日
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カラオケだけでなく、健康体操や脳トレーニングクイズの司会などのアプリも開発されています。普通のカラオケボックスでもロボットがいたら楽しそうなのですが。

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