「振れ幅の小さい車分野の事業を拡大させる」(THK社長)

寺町彰博氏インタビュー。ZF、TRWの地盤を生かせるか。

 直動案内機器「LMガイド」をはじめ、ボールネジ、軸受など多彩な機械部品を手がけるTHK。特に工作機械、半導体製造装置にとっては欠かせない存在だ。2015年に米ZF TRWオートモーティブ・ホールディングスのリンケージ・サスペンション事業を買収するなど、自動車分野での拡大戦略も注目される。寺町彰博社長に展望を聞いた。

 ―積極的な戦略を展開していますが、経営環境は厳しい状況です。
 「国内が思ったより早く減速した影響が大きい。このため当社も今期の業績予想を下方修正した。また、中国ではもっと景気対策が打ち出されると思っていたが、期待したほどではなかった。総じてアジアが足を引っ張っている」

 ―国内外の経済動向について今後をどうみていますか。
 「国内はまた良くなると思う。参院選や消費税率引き上げの時期を考えると、再び大規模な景気対策が実行される可能性は大きい。米国の利上げを踏まえて円安の局面が続けば、日本企業による輸出ももっと伸びるだろう。問題は海外だ。中東情勢をはじめ、先の読めない要素が次々と現れており、懸念している」

 ―中国の経済減速はどうですか。
 「おおむね底を打っており、少なくとも設備関連の需要がこれ以上落ち込むことはないだろう。しばらく我慢が必要だが、これから少しずつ上向くと期待している。日本も高度経済成長期から安定成長期に移行する過程で、しばらく悪い時期があった。中国も同じような転換点にあるのではないだろうか」

 ―ZF TRWのリンケージ・サスペンション事業を取り込みました。
 「今の主力事業は設備投資の波に業績が左右されてしまう。このため、比較的振れ幅の小さい車分野の事業を拡大させたい。既存の電動化製品も、電気自動車(EV)の部品として売り込んでいく。ZF TRWで培ってきた地盤が生きるはずだ」

【記者の目・欧米販売網の活用カギ】
 需要の先行きが不透明な中、慎重な運営が続く。16年3月期の設備投資額は、期初計画を大きく下回る見通し。ただ17年3月期は再び投資を増やし、製造の高度化などを推進するという。自動車部品事業はアジア向けの販売が中心だったが、欧米に強いZF TRWから事業を譲り受け、国際的な拡販体制が整いつつある。買収した工場などを活用しつつ、どれだけ効率的に製品を供給できるかがポイントだ。
(聞き手=藤崎竜介)

日刊工業新聞2016年2月10日機械面
日刊工業新聞電子版

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
02月11日
この記事のファシリテーター

寺町氏は顧客である工作機械、半導体製造装置などの業界に豊富な人脈を持ち、設備投資の動向に明るい。機械業界の動きを把握する上で、同氏の見解を大いに参考にさせていもらっている。また、免震装置やロボットなど新事業の育成に力を注ぐなど、次代への“種まき”も怠らない。今後の展開が楽しみだ。
(日刊工業新聞社編集局第一産業部・藤崎竜介)

この記事にコメントする

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。