"10歳"の神戸空港、民営化に活路

 神戸空港が16日、開港10周年を迎える。観光やビジネスの新しい需要を生み、企業の進出が進むなど地域に一定の経済効果をもたらした。しかし発着枠と運用時間の制限が足かせになり、空港本来の強みを生かせていないとの指摘もある。神戸市は空港の運営権を民間企業に売却するコンセッションに活路を見いだそうとしている。

集まる医療産業

 「人の流れが変わった。企業の進出が進みコンベンションの誘致にも弾みがついている」―。神戸市空港事業部の岡山裕司推進課長は空港の経済効果をこう説明する。特に空港に隣接する人工島ポートアイランドで市が展開する「神戸医療産業都市」への進出企業・団体は1月末時点で313。2005年度末の85から大幅に伸びた。

 兵庫県内の自治体や経済団体、企業で構成する神戸空港利用推進協議会の事務局を務める神戸商工会議所の津田佳久理事・地域政策部長も、「観光やビジネスで新しい需要が生まれた」と話す。医療産業都市の集積や理化学研究所のスーパーコンピューター「京(けい)」の誘致成功も「空港がプラスの材料になった」(津田理事)。

アクセス好評

 神戸空港は神戸市が管理する市営空港で、人工島の神戸空港島にある。現在、東京(羽田)、那覇、札幌(新千歳)など国内6都市へ1日29往復の定期便が運航されている。カツヤマキカイは13年、本社と2工場を空港島に移転。木村吾郎社長は「ユーザーが各地から気軽に来てもらえ、アクセスのよさが喜ばれている。羽田経由で海外出張に行けるのも便利。会社の宣伝効果も大きい」と話す。

 10年に本社と研究所を医療産業都市に集約したアスビオファーマも「東京への出張が多く、アクセスのよさを感じる」と好評価を与える。07年、本社とR&Dセンターを医療産業都市に移転したバンドー化学も「以前は新幹線だけだったが、飛行機の併用が多くなった」と明かす。

 神戸空港には開港前の05年11月、関西財界や関係自治体などで構成する関西3空港懇談会で合意した発着枠と運用時間の制限がある。14年度の旅客数は約244万人で国内線では全国97空港中15位。今後、旅客数を伸ばし、より利用しやすい空港に発展するには「ポテンシャルを発揮できる条件整備が重要になる」(津田理事)。

発着枠増加狙う

 市が期待をかけるコンセッションは近隣の関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港が先行。オリックスとフランスの空港運営会社バンシ・エアポートを中心に設立した関西エアポートが4月から両空港を運営する。これに続き神戸空港を加えた関西3空港の一体運営が実現すれば国内線1日60回(30往復)を上限とする発着枠と15時間(7―22時)の運用時間が緩和される可能性がある。

 市は公募による選定を前提にコンセッションに必要な準備を進めている。「どんな形のコンセッションが望ましいのか、まずは神戸空港に興味のある企業に意見をうかがう必要がある」(岡山課長)と今後ヒアリングを進める計画だ。

 一方、神戸空港利用推進協議会は15年度から会員を対象に新たな助成事業を始めている。5人以上がまとめて神戸空港を利用する事業所に対し、1人につき1000円、年間で1事業所につき最大10万円まで補助金を出す。「今後は直接、旅客数の増加につながる施策、PRに予算を使っていきたい」(津田理事)と空港の価値を高める支援を強化する構えだ。
(文=神戸・村田光矢)

日刊工業新聞2016年2月2日中小企業・地域経済面に掲載

杉本 要

杉本 要
02月03日
この記事のファシリテーター

コンセッションとは施設の所有権を国や自治体に残したまま(期限付きで)営業権を民間に譲渡する「公有民営」の手法です。国内空港の民営化では仙台空港が先行しており、まさに2月1日にビル運営などの業務が、国から東急電鉄などでつくる特別目的会社(SPC)に引き継がれました。

神戸もこれにならった手続きを踏むことができるでしょうか。

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