日本のロボット産業はプラットフォームでも世界のリーダーでいられるか

文=三治信一朗(NTTデータ経営研究所)標準化を制覇した者がIoT時代の勝者に

 モノづくりにおけるIT活用の覇権をにらみ、欧州が進めるIndustry4・0、米国が中心となるIndustrial Internetなど、IoT(Internet of Things)やCPS(Cyber―Physical System)に注目が集まっているが、機器ごとに異なるインターフェースやデータ・プロトコルの標準化はその必須条件であり、各国は当該分野をその戦略の重要分野として位置づけている。

期待の「ORiN」


 わが国でも、このような標準化活動について取り組んでいく必要性がいわれ、ロボット革命イニシアティブ協議会の中でもその方向性が議論されているところである。このような活動の中で、ロボットのオープンなソフトウエア開発環境であるORiN(Open Resource interface for the Network)の取り組みを紹介したい。

 ORiNは1999年度NEDO「新規産業支援型国際標準開発事業」に採択され、研究が開始されたプロジェクトであり、既に10年以上の実績が存在し、1万ライセンス(有償のみ)を発行するわが国が世界に誇るべき製造業におけるロボットアプリケーションソフトウエアの標準プラットフォームである。

 03年に設立されたORiN協議会のフィールドテスト結果を反映し、05年にORiN2をリリース。11年には適用例がISO20242―4に規定された。アプリケーション側にもデバイス側にも、過度の制約を要求しない柔軟な発想により誕生した世界に類を見ないオープンFAソフトウエア基盤技術となっている。

 専門用語ばかりの説明となったが、要はORiNは、ロボットを含めたハードウエアとソフトウエアとの接続性がよく、取り扱いやすさに特徴がある。こういった特徴から、有償でも数がそれなりに出てきているということと、意外にも日本はもとより、ロボットシステムインテグレーターの先進国である欧州での活用が進んでいることである。

そして医療へも


 このように、ユーザー向けのソリューションを構築していくうえでは、ハードに依存しないプラットフォームの重要性が増していくと考えている。さらに言えば、ハードウエアに強みを有する日本勢が他のプラットフォーム、標準化戦略と伍(ご)していくためには、日本発のプラットフォームが必要となるはずである。

 さらに、ORiNは医療応用などへの取り組みも始まっており、産業向けのみならず、サービス向けにも活用が進みつつある。現在は日本ロボット工業会の下で、ORiN協議会による次世代の規格作りの検討が始まっている。このような取り組みを、わが国の産業競争力向上の視点で応援したい。
 

三治信一朗(さんじ・しんいちろう)NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット 産業戦略チームリーダー シニアマネージャー。2003年(平15)早大院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了、同年三菱総合研究所入社。15年NTTデータ経営研究所に入社し産業戦略チームリーダー



日刊工業新聞2016年1月22日 ロボット面
日刊工業新聞電子版

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
01月24日
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サービスロボット向けの安全規格「ISO13482」のように、ロボットに関連する規格や標準化でも先手を打とうとする動きが目立ってきた。これからはハードウエアの強みだけでは世界に勝てない。日本のロボットが存在感を示している今のうちに、プラットフォームを握ることが重要になるだろう。
(追記)
ちなみに以前の取材で聞いた話によると、ロボット各社にはオープンプラットフォームの普及でビジネスチャンスを広げたい勢力がある一方、独自のソフトウエアで囲い込みたい思惑が大手メーカー中心に強く、なかなか足踏みがそろわない状況もあるよう。

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