動脈硬化撃退!10時間程度拘束、10回前後採血をなくす脂質測定器

地方創生を支える!注目のベンチャー企業 #4 メディカルフォトニクス

 アルコールの耐性に個体差があるように、脂質吸収率にも個体差がある。医療分野IT市場の裾野広がりが進む中、メディカルフォトニクスは光の分析技術で採血を不要とする脂質測定器を開発した。血中脂質を家庭で測定する新習慣で、個体に最適な動脈硬化予防と治療をサポートする。

脂質吸収率を可視化


 北海道大学キャンパスの一角にある、中小企業基盤整備機構が運営する「北大ビジネス・スプリング」にはバイオ系ベンチャーが多く入居する。その一つである同社は昨年2月に設立した従業員4人の企業。10畳ほどの部屋に実験器具やパソコンが並ぶ、シンプルなオフィスだ。

 昨年11月、主力である手のひらサイズの血中脂質測定器が出来上がった。10個センサがついており、LEDの光を出すとともに血中からの反射光を検知する。測定には採血を必要とせず、手首など皮ふの血管に近い部分に当てて生活することで、脂質量をグラフ化する。従来では10時間程度拘束され、10回前後採血しなければ測定できなかった食後高脂血症。この測定器が家庭に普及すれば、日本人の死因3割を占める動脈硬化が国民病でなくなる日が来るかもしれない。

 同社の飯永一也社長は6年前、都内の検査薬メーカーに勤め、善玉コレステロールや悪玉コレステロール試薬のMR(医薬情報担当者)をしていた。このころ悪玉コレステロールの検査方法は、脂質代謝異常などで正確に測れない症例があった。悪玉コレステロールは動脈硬化を起因とする心筋梗塞や脳卒中などの原因とされており、動脈硬化による病気は日本人の死亡原因の第2位になっている。この病気には悪玉コレステロールを薬で低下させる治療法が取られている。しかし、この治療法では動脈硬化の発症率を20〜30%しか抑えられず、残り70%の残余リスクがあることになる。その残余リスクとして食後高脂血症が挙げられる。

 食後高脂血症は、食後に中性脂肪(TG)が高くなる現象。食後のTG値が84mg/dL未満の群に比べ、166mg/dL以上の群では心血管系の病気が発症する相対リスクは約3倍になると報告されている。

 このことから、前述の悪玉コレステロール検査のみに依存することで重症化や再発する人を見逃す恐れを少しでも減らすために、食後高脂血症の検査を広めることが重要ではないかと、飯永社長は考えた。しかし、食後高脂血症の検査のためには、10時間程度の拘束と10回程度の採血が必要で、病院で行うことがとても難しい検査方法である。そこで採血を無くすれば簡単に検査ができると考え、開発に踏み切った。

さらにこの方法で脂質の吸収率を測定することができれば、吸収率が高い患者には治療薬を処方し、吸収率の悪い人には生活習慣の改善を中心に指導するなど、より適正な医療行為ができるようになる。

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