昭和の「東芝再建請負人」は謹厳実直で質素倹約の人

平成版「土光敏夫」は何処に

 この人物ほど、数多くの異名で語られた財界人はいないだろう。「ミスター合理化」「荒法師」「行革の鬼」…。経団連会長や第二次臨時行政調査会(臨調)会長を務めた土光敏夫。「昭和のカリスマ経営者」である。

 「増税なき財政再建」をうたい、日本国有鉄道など3大公社の民営化を実現した1980年代の中曽根行革。大改革の立役者が土光である。86歳の老体にむち打ち全国行脚を繰り返し、行財政改革の必要性を説き続けた。常に土光の視線の先には、「日本の再建」「子供たちの未来」があったと言われている。

 「『土光与党』なる言葉が生まれた」と、若手財界人として臨調メンバーに加わったウシオ電機会長の牛尾治朗は当時を振り返る。土光という誰もが信頼する人物を会長に据えたことで、野党を含め全員が”土光応援団“に。ソニーの井深大、ホンダの本田宗一郎らが民間応援団を買って出るなど行革は国民運動に発展。行革成功のポイントになった。

没後28年の今でも語録が上梓(じょうし)され、根強い人気を誇る土光の秘密は何か。謹厳実直で質素倹約の人柄が愛されたことが挙げられる。経団連会長時代には料亭会合を嫌い、自らの給料は生活費の10万円を除き、母親が設立した学校に寄付してしまうほど。仕事には厳しく、「モーレツ経営」で東芝再建に腕を振るった。企業、そして国家の再建を断行したカリスマ経営者である。
(敬称略)
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(三菱ケミカル・小林氏、アサヒビール・池田氏、資生堂・前田氏。企業トップ経験者の社外取締役)

日刊工業新聞2016年1月15日4面
日刊工業新聞電子版

明 豊

明 豊
01月18日
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社外取締役はあくまで社外の監視役。室町社長は構造改革にめどを付け次第退任の意向を示しているが、今のままなら内部昇格だろう。本気の再生には外部からの招聘もありえるが、今の経済界に土光さんのような人物がなかなか見当たらない。

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橿藁 チャーチル
橿藁 チャーチル
11月18日
第二臨調は、この国を奈落の底に突き落とした最大の敗北だった。
この反省が無いまま今日の我が国の失われた25年は取り戻すことは不可能だ。
経済を解らぬ者が、経済を語りまた要職につくのが理解できない。

  

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