日本電産・永守会長「日本でも売上高10兆円のメーカーがどんどん出てこなければ」

電子部品の業界再編。好調におごらず、規模拡大で生き残りへ

 米アップルによる新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)6s」の減産が電子部品産業に影を落としている。強さを誇る日本製部品のメーカーも、スマホ大手の動向一つで業績が大きく動きかねないリスクをはらんでいる。アップルに限らず、多くの部品の販売先は今や海外に大きく広がる。日本の電子部品産業が今後も国際競争で勝ち残るためには、再編による規模拡大で成長を加速することが欠かせない。

 昨年末、ミネベアとミツミ電機が17年4月をめどに経営統合することを発表した。積極的なM&A(合併と買収)戦略で知られる大手電子部品メーカー首脳は「ミツミは早く決断して良かったのでは…」と評する。主力のゲーム機向け部品が低迷が続く中で、ミネベア傘下に入れば成長分野でのシナジー効果が期待できるからだ。

 我が国のエレクトロニクス産業の中で、最も好調とされるのが電子部品分野だ。スマホ向けに加えて、自動車やモノのインターネット(IoT)など今後も需要拡大が予想される。最近では売上高1兆円を超える企業も相次ぐ。その一方で製品の種類がケタ外れに多いこともあり、1000億円に満たない企業が数の上では大半を占める。業績も、必ずしも一様に良いわけではない。

 グローバル市場で日本の電子部品産業がこの先も勝ち残るためには、成長分野にシフトできていないメーカーの再編が避けられないのではないか。かつて主要な販売先だった国内の電機大手の業績はまだら模様。成長の波に乗るにはグローバルな営業体制や供給体制が必要だ。またスマホに限らず、電子部品の顧客が国際競争によって寡占化し巨大化する中にあって、部品メーカーも規模拡大に動かざるを得ない。

 日本電産の永守重信会長兼社長は「日本でも売上高5兆円や10兆円の(部品などの)メーカーがどんどん出てこなければ」と話す。技術力を自慢しながらも世界的な競争に敗れ、事業撤退や構造改革に追い込まれた家電や半導体の失敗を繰り返さないためにも、今こそ攻めの再編が必要だろう。

日刊工業新聞2016年1月13日4面
日刊工業新聞電子版

明 豊

明 豊
01月16日
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ロイターの報道によると、産業革新機構がルネサスの株式を売却、来月にも入札を実施し日本電産が有力候補になっているという。永守さんの原動力はコンプレックスにあると思う。以前からエスタブリッシュな総合電機メーカー(地に落ちた企業もあるが)の不振事業を引き取り立て直すことに関心があった。ルネサスの母体は日立、三菱電機、NEC。自身の満足感からも取りたい案件かもしれない。革新機構はシャープに大金を突っ込む計画だが、余波とも受けとれる。その日本電産にはシャープの経営に失敗した元社長の片山氏が副会長でいるのも何かの因縁か。ルネサスのディールの着地点はまだ分からない。

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