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ヨーカ堂は提携先スーパーとの協業強化で浮上するか

地域密着化へ商品政策など抜本改革
ヨーカ堂は提携先スーパーとの協業強化で浮上するか

本部主導から個店主導の組織改革も実施

 イトーヨーカ堂が、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の提携先スーパーと情報共有化に乗り出す。地域対応を徹底するのが狙いだ。業績不振のヨーカ堂は本部が主導した商品・価格政策から個別店舗主導への転換を進めており、地域を良く知る提携先のスーパーの力を借り浮上を目指す格好といえる。

 ヨーカ堂の営業損益は2015年2月期は大幅減益、15年3−11月期は赤字を計上した。40店に及ぶ不採算店の閉鎖を発表し業績の改善を狙っているが、抜本策にはなりにくい。そこで大胆に各店舗に権限を委譲し、店舗側の利益責任を明確化するなどの改革に着手している。

 これまでのチェーンストアは本部がバイイングパワーを発揮するために集中的に仕入れるなど、本部が主で店舗が従という関係だった。今回の改革はこれを逆転させる格好だが、これまで本部に付き従ってきた店舗が、地域にきめ細かく対応できるか未知数の部分もある。

 一方、不振の総合スーパー(GMS)でも地域に根差したスーパーは好業績を残しているところが多い。それは地域に根差したマーケティングやニーズの吸い上げなどが奏功しているからだ。

 ヨーカ堂はそうした提携先スーパーの良い点を取り入れて、地域に深く入り込む作戦。これまでの取り組みでは、食品部門の集客が強化できれば、衣料品や住居関連商品への波及効果も出ている。提携先との食品部門での情報共有を突破口に、店舗全体を浮上させたい考えだ。
日刊工業新聞2016年1月13日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 ヨーカ堂は前社長の亀井淳氏が再登板する異例のトップ交代を断行しました。亀井氏の社長就任で提携先スーパーとの協業拡大などを加速するとみられますが、立て直しに背水の陣を敷いた格好でしょうか。

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