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食品添加物だけでつくった保冷剤発売へ―蒟蒻屋本舗専務・櫻井裕也氏に聞く

食品添加物だけでつくった保冷剤発売へ―蒟蒻屋本舗専務・櫻井裕也氏に聞く

食品添加物だけでつくられている保冷剤

 蒟蒻(こんにゃく)屋本舗(埼玉県鴻巣市、櫻井誠也社長、048・596・5235)は、食品添加物だけでつくった保冷剤を2016年春ごろに発売する。同社は「こんにゃく餃子」やマヨネーズタイプのドレッシングなど、水溶性液状こんにゃくを使用した食品を販売している。新分野へ進出する背景や展望を櫻井裕也専務に聞いた。


―一般的な保冷剤や、ドライアイスとの違いは。
「マイナス18度Cからスタートし、長時間冷やせる。また、氷結点がマイナス18・1度Cなので、家庭用の冷凍庫で凍らせることができる。同じくらいの温度の保冷剤は他社も販売しているが、氷結点が約マイナス30度Cのため、家庭用の冷凍庫では固められない。ドライアイスは危険物で、冷凍庫に入れておいても気化してCO2を排出する。しかし、当社の保冷剤は食品添加物だけでつくっているので安全だ。リサイクルもできる」

―商品の概要は。
「価格は一般的な保冷剤よりは高くなる。大きさは顧客のニーズに対応していく。すでに物流業者や空港の土産物店などから引き合いがある。当社の保冷剤があれば土産物を海外へ運べるので、“爆買い”にも対応できる」

―開発したきっかけは。
「東日本大震災の翌日、被災地入りした。保冷剤を使って肉などを運んだが、すぐに溶けてしまった。その後、スケート場の氷が溶けない理由の一つが塩だということを知った。そこで、会社にある食品添加物に塩を入れて保冷剤をつくってみた。計画停電の際にも社内で活用し、これはいける、と思った」

―今後の展望は。
「物流会社など向けにレンタル事業も検討している。環境問題の改善に少しでも貢献できればと思う」
(文=さいたま・福沢尚季)
日刊工業新聞2015年12月25日 モノづくり面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
海外からの日本の食品に対する注目は高く、長時間もつ保冷剤に目を付けたというのが面白い。海外向けだけでなく安全志向が高まる日本でも十分ニーズがありそうです。

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