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セブン―イレブン、防災のキーマンが語る緊急時の最新ノウハウ(後編)

「企業や行政の情報がシステム連携して有効活用されるには官民全体の取り組みが必要」
 粟飯原勝胤(あいはら・かつたね)セブン&アイ・ホールディングス執行役員システム企画部シニアオフィサーの講演の続きです。

<粟飯原> 
 ここまでは自社内の情報を集約して活用する話だが、いろいろな取引先がいらっしゃるので、そこと協力して情報の提供、共有、供用ができないかと考えている。

 例えばパスコさんの空間情報サービスと地図データなどをリンクしてシステム構築を進めている。NECさんには停電情報で協力いただいている。NTTコミュニケーションズさんには店舗の専用回線の状況を監視いただいている。富士通さんから調達している車載端末を使って全国5200台の車両からの情報のわかりやすくシステム化も目指している。ほかにもウェザーニューズさん、綜合警備保障さんからなど、いろいろな情報が集まる。
 
 それらをどう見せていくかは、グーグルさんのクラウド基盤を使い構築を進めている。店舗だけでなく工場や配送車の情報、公共的な災害情報などを乗せてレイヤー構造にして集約して見せる。取捨選択して必要な情報を見ることができる構造を目指している。店舗を通じてお客さま、地域住民向けにも情報発信をしていく。さらに国や公共機関との情報連携も視野に入れている。
 
 私どもだけでなくいろいろな企業がさまざまな情報を持っている。行政が持つ災害情報などとシステム連携して有効に活用されるよう、官民全体の取り組みが必要ではないか。それは意見交換の場をきちんと設けることで、より進むと思う。

 「7VIEW(ビジュアル・インフォメーション・エマージェンシー・ウェブ)」をつくっていく上でいろいろな情報を集めているが、同一カテゴリーでも自治体や企業など発信者が異なっており、それぞれの整理と統一ポータル化などによる接続対応も必要だ。また海外からの旅行者が増えている中、災害にあわれたらとても不安だと思う。メジャー外国語でのリアル変換もスマートフォンを使えば可能だろう。

 まだ始めたばかりなのだが、日本のICT技術と防災ノウハウを融合すればいろんなことができるのではないか。それも特殊な技術でなく、今手にすることができる技術と情報を組み合わせることで可能なのでは。そうしたことを話し合う土台をつくった上で、皆でやればよい。結果的に国の力につながるのではないだろうか。
(防災産業シンポジウムより=仙台市で3月に開催)
日刊工業新聞2015年04月16日 「モノづくり日本会議」特集ページ
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
セブンが情報のハブになっていることがよくわかる。ポータル化を進めていく上で、ライバル企業からは警戒心も高まる。「防災」というキーワードでその壁を越えることができるか、情報連携はまだまだ課題も多い。

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