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「インスタグラムは日本との親和性が高い」ーFB日本法人、動画広告で成果出始める

来年はオーディエンスネットワーク、中小企業、クリエイティブの強化
「インスタグラムは日本との親和性が高い」ーFB日本法人、動画広告で成果出始める

事業状況を説明する長谷川代表

 フェイスブックの日本法人は9日に事業説明会を開き、現在の利用状況や広告サービス、来年に向けての強化項目を発表した。日本におけるフェイスブックのアクティブユーザーは直近で月間2500万人、インスタグラムは同810万人、特にインスタグラムは前年比で2倍以上伸びている。モバイル利用率が92%で、1日の動画再生のモバイル比率も90%に高まってきているという。

 一方、広告についてはユーザーが画像をスライドしたり横向きにできる「カルーセル広告」がヒット商品として広告主から評価を得ていると説明。フェイスブックが得意とするデータマーケティングと連動させることで、購買に結びつくコンバージョン率は2倍以上になるケースも出ているという。

 また動画広告へのニーズが急激に高まってきており、日本法人の長谷川晋代表取締役は「特にブランディング領域で動画は効果が大きい」とした。日本においてフェイスブックの動画広告はパナソニックの「ビューティフルジャパン」キャンペーンが最初で、その実績がクライアント拡大につながったという。同キャンペーン広告は、ユーザーの住んでいる地域によってコンテンツを使い分ける手法を取り入れている。

 またインスタグラムの動画広告ではリクルートの「SUUMO(スーモ)」が最初の1つとして結果につながってきているという。特にインスタグラムはグローバルよりも日本での方が広告認知の数値が高く、長谷川氏は「日本との親和性が高いプラットフォーム」という認識を示した。フェイスブックとインスタグラムではユーザーの使い方がかなり違うため、それぞれに合わせた広告のクリエイティブ力を高めていくという。

 また広告の質の担保については「根幹のミッションに関わる死活問題。まだ完璧でない部分もあるが、ビジュアルだけでなくテキストでも不適切なものを外す機能を強化していく」(長谷川氏)とした。

 来年の日本における注力分野について、一般のモバイルアプリでフェイスブックの広告ターゲティング機能を活用する「オーディエンスネットワーク」の強化、中小企業へのサービス強化、モバイルにおけるクリエイティブ力の強化ーの3点をあげた。

 長谷川氏はデジタル広告のクリエイティブ性について、これまではデータだけの活用と1年以上かけて動画を作成する両極端な世界だったと指摘。「その中間ぐらいにビジネスのアップサイドがある。デジタルらしいサイクルを回していきたい」と話した。現在、広告制作プロセスについては、広告代理店などと初期の段階から一緒にプロジェクトを立ち上げるケースと、大手の広告主からデジタルの活用など比較的簡易なコンサルティングの2通りが中心という。

 中小企業の開拓は今年、東京、大阪、金沢の3カ所でセミナーを開催、約800人を動員した。特に人材獲得やマーケティングなどの課題解決でサービスを充実させていくという。

 フェイスブック日本法人の人員はこの3年間で5倍になり、このほどオフィスも拡張した。10月に長谷川氏が代表取締役に就任して初の事業説明会。長谷川氏は米プロクター・アンド・ギャンブルなどを経て2012年に楽天に入社。14年11月から国内外のマーケティングを担当する上級執行役員を務めていた。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
インスタの動画広告はこれからかなり伸びていくという印象もあるが、世界観をどこまで崩さずにクリエティブな広告を作っていけるか。日本法人はかなり少人数のクリエイター陣容で回しているが、世界中の人的リソースも活用している。

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