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国内の爆買い沸騰の裏で海外で苦戦する百貨店

現地調達品を減らし「日本」製品の供給増やす店舗も
国内の爆買い沸騰の裏で海外で苦戦する百貨店

5月に開業した上海新世界大丸百貨

 百貨店の海外事業が苦戦している。三越伊勢丹ホールディングス(HD)のシンガポール事業は損失が大幅に拡大し、2012年に開業した上海高島屋も赤字が続く。国内の都心店舗は訪日外国人による「爆買い」に沸いているが、”日本の百貨店“ブランドが外国人に受け入れられているとは、必ずしも言えない。

 「一番(に)課題認識している。赤字に転落する可能性が高い」。三越伊勢丹HDの大西洋社長は海外事業について、11月に開いた15年4―9月期決算会見で危機感をにじませた。特にシンガポール伊勢丹の営業損失は前年同期比5億円増の7億円に膨らんだ。立て直しに向け、現地調達品を減らし、日本の商品統括部が供給する商品を増やす。

 海外事業では3年間に約200億円を投資し、新興国では不動産開発で収益を得る方針だ。「5―10年後を考えた時、百貨店がそのまま出ても難しい。シンガポール高島屋も利益が出るまで10年掛かったが、(子会社のデベロッパー)東神開発が出て、今は(年間)60億―70億円の利益を生み出している」と大西社長は話す。

 中国の日系百貨店では地下の食料品フロアはにぎわっていても、ファッションフロアは閑散とした様子が見られる。上海や天津の伊勢丹でも同様の傾向がある。家賃の高さも課題となっており、上海伊勢丹については移転も視野に入れる。
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2015年12月9日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 国内ではストアブランドが確立しており、老舗の看板に信用を得ている大手百貨店。しかし、海外では日本製品に対する絶大な信用力は確立しているものの、百貨店の「ストアブランド」が確立していないことが分かります。現地のニーズの汲み上げた商品政策など現地化マーケティングの積み重ねが、支持を獲得し「看板」の浸透につながるのではないでしょうか。

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