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デジタル地図のヒア、BMWなど新親会社の自動車走行データからリアルタイム地図作成

オープンな位置情報プラットフォーム目指し、他の企業とも協力へ
デジタル地図のヒア、BMWなど新親会社の自動車走行データからリアルタイム地図作成

ヒアの3Dマッピング車(同社のウェブサイトから)

 アウディ、BMW、ダイムラーのドイツ高級車3社による企業連合がノキアのデジタル地図子会社、独ヒア(HERE、ベルリン)の買収を12月4日に完了させた。これを受けてヒアは7日に声明を公表。親会社となる3社の自動車の走行データを匿名のビッグデータとして活用し、自動運転車などに役立つリアルタイムの高精度デジタルマップの作成に取り組んでいくことを明らかにした。

 ヒアは現在、道路を走行しながら地図データを取り込む3Dマッピング車や、走行中の自動車から得られるダイナミックデータを含め8万以上の情報源を地図作成に利用している。声明によれば、ヒアは新しい親会社3社に加え、今後数カ月にわたって、他の自動車およびそれ以外の企業とも協力に向けた話し合いに入るという。顧客にとってオープンな位置情報プラットフォームを作り上げることで、車の運転をより安全で、楽しいものにし、排出ガスの削減にもつなげていくとしている。

 独自動車連合3社とノキアは今年8月にヒアの買収で合意。当初はその完了時期を2016年第1四半期としていたのに対し、予定を前倒しして達成した。最終的な買収額は28億ユーロ(約3700億円)。

 ヒアの買収をめぐっては、配車サービスの米ウーバーや中国のバイドゥ、テンセントなども名乗りを上げていたが、交渉の過程で脱落。中でも自動運転車の開発も進めるウーバーは、6月にマイクロソフト・ビング(Bing)の地図資産をマイクロソフトから買収したほか、11月にはカーナビやデジタル地図を手がけるオランダのトムトム(TomTom)と提携するなど、デジタル地図の強化に動いている。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
ヒアの買収では、ドイツ自動車3社からトヨタに対して出資の打診があったが、トヨタが断ったとの報道もある。高精度なデジタル地図は自動運転車ばかりでなく、デジタル社会のさまざまなシーンで重要な情報インフラになっていくだろう。こうした動きに対して、自動運転車の開発でも先行するグーグルが、これまでのグーグルマップやストリートビューを超えるどんな地図サービスを打ち出すかにも注目したい。

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