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ファストリ・良品計画が苦手の欧米市場で「ZARA」や「GAP」に挑む

事業拡大へテコ入れ策。真のグローバル企業への試金石に
ファストリ・良品計画が苦手の欧米市場で「ZARA」や「GAP」に挑む

国内事業は好調だが・・・

 海外事業が好調なファーストリテイリング、良品計画だが、意外にも”苦手国“がある。ファストリは米国、良品計画は英国だ。ファストリの米国事業は2015年8月期に赤字幅を拡大、良品計画も英国での苦戦が響き欧米事業で赤字が続く。両社ともに中国事業が拡大し海外事業全体をけん引しているが、欧米で苦戦する構図だ。欧米市場は「ZARA」「GAP」など有力衣料専門店のシェアが高い。ファストリや良品計画はブランド先進地域の欧米市場でどう戦うか。

 「ブランドの浸透度がニューヨークやロサンゼルスなど大都市はいいが、郊外のモールではいまひとつだ」(ファストリの柳井正会長兼社長)。現在ファストリの米国店舗は42店(15年8月末現在)。14年8月期末比で17店プラスだが、15年8月期は赤字幅が拡大した。米国では「GAP」など欧米系の有力専門店が高いシェアを持ち、競争も激しい。

 柳井社長は「世界から精鋭を(米国に)送り込む」とし、黒字転換に向けて年間出店を抑制。スクラップ&ビルドによる採算改善を目指すほか、大都市で好調なEコマース事業は、商品構成を抜本的に見直す方針。「グローバルナンバーワンになるためには米国でトップを目指さなければならない」(柳井社長)とし、当面の米国100店体制の目標を維持する考えだ。

 良品計画も中国事業が好調で15年3―8月期は大幅な増収増益を達成したが、課題は英国だ。英国では現在12店を展開するが、松崎暁社長は「(欧州進出にあたって)海外で事業をする仕組みがなかった。そのため店舗規模が小さく、プレゼンが弱いなかで事業をやっていた」と話す。

 15年3―8月期の欧米事業の営業損益は4億8200万円の赤字。ここ数年赤字が続いている上、15年3―8月期は赤字幅が拡大した。松崎社長は「出店の仕方に問題があった」とし、事業構造を作り直す方針だ。具体策は明らかではないが、店舗の大型化やマーケティングなどを再構築するとみられる。松崎社長は「欧米もアジアと同じ軌道に乗せられる」と自信を示す。

 ファストリも良品計画も真のグローバル企業への脱皮には、競合企業が少ない新興国市場だけでなく、欧米市場での成功が避けて通れない。強力なブランド力を持つライバルがひしめく欧米市場での事業はグローバル化の試金石だ。

2015年12月2日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 アジアでは絶好調のユニクロと良品計画も意外にも欧米では苦戦しています。世界的なSPA(製造小売業)企業など競合ひしめくなかで、いかに現地のニーズをくみ取れるかが拡大のカギとなるのでしょうか。

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