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マルエツがセミセルフレジを実験導入する理由

決済スピードを改善。ローコスト化と顧客満足の両立になるか
マルエツがセミセルフレジを実験導入する理由

顧客自身が会計機で決済する

 マルエツは店舗のローコスト・オペレーションを徹底する。センター段階で店舗に供給する生鮮食品の生産能力を高めるほか、店舗ではセミセルフレジの実験導入や発注の簡素化を目指す「新発注システム」を導入、多面的にローコスト化を推進する。スーパー業界では人手不足が顕著になっている。同社も70歳以上のパート・アルバイトを雇用できる体制にしている。オペレーションも合わせて改革し、人手不足を乗り切る。

 マルエツは生鮮食品などをセンターで集中加工し、店舗に供給する体制を敷いている。今回、機械化や新型設備の導入で加工能力を従来比約2割引き上げる。センターの能力向上により、店舗の拡大や、売り場での機会損失の抑制を図る。

 店舗では既存約10店でセミセルフレジを実験導入した。実験店舗のレジ担当者は商品のバーコードスキャンに特化し、顧客自身が会計機で代金決済する。決済のスピード化で生産性を高める。

 同社によると従業員1人が商品バーコードのスキャンから金銭の授受までこなす従来の方式に比べ、セミセルフレジは「1・4倍程度スピードが上昇する」という。顧客のレジ待ち時間短縮で、混雑時の顧客満足度とともにレジの生産性も向上する。

 また新発注システム「勧告型発注システム」を11月までに都心型の小型店など167店の店舗に導入。精肉、鮮魚、デリカ、日配食品などの定番商品を中心として販売数量や客数など従来の実績をベースに、店舗の発注者に仕入れ数量などを勧告する仕組み。発注の判断の迅速化、高精度化が狙い。

 同社ではパート・アルバイト従業員の定年を従来の70歳から70歳以上に引き上げ、やる気があれば継続して働けるように体制を整備し雇用面でも改革に乗り出している。合わせて店舗段階での合理化で、人手不足を補完する体制を強化していく。
日刊工業新聞2015年11月26日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
フルセルフ型のレジを経験した方もおありかと思いますが、フルセルフだと多少戸惑うところもあります。しかし、セミセルフ型レジは商品のスキャンは熟練した従業員がやって、顧客は自動販売機のように会計機にお金を入れて決済するだけです。流通ではフルセルフ型の導入は広がりましたが、今後、従業員がスキャンから決済までやる「有人型」、「セミセルフ」、「フルセルフ」と折衷型で顧客が選択する形が増えるのではないかという見方も出ていますが、果たしてどうでしょうか。

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