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ヤマザキマザックと米シスコ、工作機械の安全なネット接続で連携

セキュリティ装置を開発、外販も検討
 【名古屋】ヤマザキマザックは17日、米シスコシステムズと共同で工作機械などの工場設備をIoT(モノのインターネット)でネットワーク化する際、外部からのサイバー攻撃など不正なアクセスを遮断する仕組みを開発したと発表した。設備の”見える化“にも対応する。工場の安全性と生産性を向上させるスマートファクトリーのプラットフォームとして広げる考えだ。

 工場内のコンピューター数値制御(CNC)搭載の工作機械やIoT対応の設備機器と工場外部をネットでつなぐ際に、その間に介在して安全な情報のみを通す中継器「マザック・スマートボックス」を共同開発した。米国発の製造業向けオープン通信規格で、工作機械を主な対象にした「MTコネクト」を通信プロトコルに採用。

 同規格対応の工作機械や設備であれば、メーカーやモデルの新旧を問わず、複数機器を接続できる。工場内設備の通信をこれに限定することでネットワークの安全性を確保できる。

 対応ソフトで接続機器の稼働状況の可視化や分析も可能。スマートボックスを採用済みのマザック米国工場では、設備稼働率の10%以上の向上や残業、外注費の削減などの効果が出ており、本社工場(愛知県大口町)の導入も推進している。

 マザックはこの実績を安全なスマートファクトリーの環境を提供するソリューションビジネスの展開につなげる考え。今後、スマートボックスの製品化に向けた検討をシスコと進める。

≪解説・ライバルの対応に注目≫
 ヤマザキマザックと米シスコシステムズが初めてタッグを組んだのは、IoT(モノのインターネット)によるスマートファクトリー化を広めるにあたり、サイバー攻撃など外部からの不正アクセスを防ぐサイバーセキュリティーの確保が必須だという事情がある。

 大手工作機械メーカーの間ではIoTで工場のスマート化を支援する動きが活発化している。例えば、オークマは外部とのネット接続が容易な独自コンピューター数値制御(CNC)装置「OSPスイート」を軸に生産の最適化を顧客に提案。DMG森精機はネット化した工作機械の状態を常時把握し、問題を解析する取り組み「マシンツール4・0」を独シェフラーと始めた。

 ただ、スマートファクトリー化のネックはセキュリティーをどう担保するかだ。実際、その面を疑問視して生産設備のネットワーク化に消極的な製造業もいるという。

 こうした中、マザックはコンピューターネットワーク機器大手を取り込み、生産性向上だけでなく安全性の高さも前面に打ち出す戦略をとってきた。安全面のアピールで先行したマザックに対し、ライバルがどのように対応するか注目される。
(名古屋・江刈内雅史)
日刊工業新聞2015年11月18日1面
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
どんな装置なのか、危ない挙動をするデータが飛んできたらはね飛ばすようなものなのか。 まぁでも、組む相手がシスコなら、そうそう変なものではないだろうという感じがします。 いいものなら是非外販すべき。日本だけじゃなく欧米でも売れるでしょう。

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