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コンビニが新たな配送会社となる!?

店舗間の配送や食品製造のハブ拠点化など
コンビニが新たな配送会社となる!?

来年から個人の荷物の店舗での受け渡しも開始

 コンビニエンスストア業界で店舗網の有機的活用が広がっている。ファミリーマートは大株主の伊藤忠商事と組み、店舗間で消費者の荷物のやりとりを本格化。セブン―イレブン・ジャパンも11月から店舗での商品受け取りを本格スタートした。コンビニ店舗網はこれまでの”点“での存在からネットワークを生かした新たな段階に入った。

 ファミマは全国の店頭で荷物が受け渡しできる「はこBOON」を展開してきたが、これに小サイズの荷物も配送できる「はこBOONミニ」を追加。80サイズ(45センチ×35センチメートル)の専用袋に10キログラムまで荷物が入れられる。まずヤフーのオークションサイト「ヤフオク!」の荷物から展開を開始。来年からは消費者の荷物の店舗間配送も始める予定だ。

 「自宅ではなく、荷物を受け取りたい」という利用者が増加しているうえ、宅配業界では非効率な再配達が問題になっており、店舗活用の需要が拡大するとの判断だ。いわば店舗網を活用し低価格を売り物にした「新物流会社」が誕生した格好。今後コンビニは店舗を有機的に結合し、物流インフラの機能を強める可能性が高い。

 ファミマではさらに地域のハブとなる店舗で弁当などを製造し周辺の店舗に供給する実験も開始した。今後はスーパーなどと協業し、スーパーの調理場からコンビニ店舗に商品を配送する枠組みも検討している。

 業界最大手のセブン―イレブンも11月から本格化したオムニチャネル「omni7」で書籍取り次ぎ大手のトーハンの物流網を活用し、関東(1都6県)約7000店で、ネット通販商品の365日配送を始めた。トーハンが持つ書店巡回の物流を使い店舗での返品受け付けなどにも対応する。

 コンビニの店舗数は全国で5万店を越えた。今後は店舗網を点ではなく、有機的につないだり、”面“として活用するケースが増えていきそうだ。
日刊工業新聞2015年11月11日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コンビニが新機能の配送会社として浮上してきました。全国にある店舗網を有機的に結び付けて使えば〝モノ〟の移動ができるからです。コンビニは1日に3回もトラックが店舗に商品を配送してます。この機能を使わない手はないですね。

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