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木の枝を巧みに避け、最高時速48kmで自律飛行するドローン、MITが開発

高速アルゴリズムのソフトをオープンソースで公開
木の枝を巧みに避け、最高時速48kmで自律飛行するドローン、MITが開発

ドローンのカメラが捉えた映像。赤い部分が障害物(MIT CSAILが公開した動画から)

 小型飛行機型のドローンが目の前の木の枝を巧みに避けながら、最高時速48kmのスピードで自律飛行するー。こんな映像がユーチューブに公開された。ドローンを開発したのは米マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピューター科学人工知能研究所(CSAIL)の博士課程に在籍する大学院生のアンドリュー・バリーさんとラス・テッドレイク教授ら。

 機体に搭載するソフトウエアを工夫することで、高速かつ高度な自律飛行を実現した。ソフトウエアはオープンソースとして公開され、ネットからダウンロードできるようになっている。

 バリーさんらは、周囲の障害物を検知するのに、自動運転車のようなレーザーレーダーなどのセンサーを小型飛行機に搭載するやり方は実用的でないと判断。せいぜい時速10km程度でしか飛べないことから、ソフトウエアのアルゴリズムを工夫した。完成したドローンには、現在のドローンに搭載されているソフトウエアの20倍以上の処理速度で動作し、2台のカメラからのステレオ映像で障害物とそこまでの距離を検知しながら、周囲の3次元マップをリアルタイムで作成できる機能を持たせたという。

 1秒あたり120フレームで映像を取り込み、リアルタイムでの高速処理を可能にしたのは、飛行中の障害物検知機能を10m先までに限定したため。障害物に近づくと急に方向を変え、衝突しないようプログラミングされている。また、飛行中の周囲のデータはマップとして記録され、次に同じ場所を飛行し、カメラからうまく深さデータが得られないような場合に役立てられる。

 ドローン本体は翼の長さが85cm、重量は1ポンド(453g)ちょっと。市販の部品を使うことで、製作コストを一般向け高級ドローン並みの1700ドルに抑えた。カメラ2台のほか、通常のスマートフォンに使われるマイクロプロセッサーを2個搭載している。

 バリーさんは、距離の異なる複数の障害物を同時に検知して対処するアリゴリズムの改良にも現在取り組んでいる。ドローンが森に入り、木の間をすり抜けながら森から出てくるような機能の実現を狙うという。

【ドローンの飛行映像】
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
1月のCES2015で、3Dロボットビジョン「リアルセンス」を搭載したマルチコプター型ドローンが森の中を木を避けながら飛ぶ様子をインテルが披露したが、もちろん低速での飛行だった。https://www.youtube.com/watch?v=Gj-5RNdUz3I 今回は森の中ではないが、自律飛行するドローンがするりと木の枝を避ける様子はまるで生きているような感じ。オープンソースなので、このソフトをドローンに組み込んで製品化する企業もたぶん出てくるだろう。

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