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電子部品大手は今期業績上振れへ。中国スマホ「減速感なし」

設備投資も前倒し
 電子部品5社の2016年3月期連結業績見通しは、スマートフォン向けの需要が引き続き拡大し、各社とも好調に推移する見通しだ。村田製作所、アルプス電気が15年4―9月期決算で上方修正し、予想を据え置いたTDK、日本電産も業績は上振れ気味。スマホ市場の成長鈍化が懸念されつつも、部品需要は依然として底堅い。
 
 村田製作所はコンデンサー、圧電製品、通信モジュールがそろって伸長。けん引役は、前年同期比で「60%ぐらい伸びた」(村田恒夫社長)スマホ向け。中国向けも好調で「減速感はない」(同)。TDKの上釜健宏社長も「第3四半期はさらに増える」と予測。「(中国スマホの)勝ち組の勢いがいい。部品需要を押し上げる可能性がある」と上振れは確実。下期予定の設備投資の一部も前倒しした。

 アルプス電気はカメラ用アクチュエーターなどが好調。「年内は良い状況が続く」と栗山年弘社長。設備投資を期初計画から76億円増の550億円へと増額した。日本電産も米アップル「iPhone」の最新機種などに採用されたハプティック(触覚)機器向け小型振動モーターが急拡大。「ハードディスク用スピンドルモーターの工場の一つを使うほか、新工場も作らないと」(永守重信会長兼社長)と、設備投資を上積みした。

 下方修正した京セラも、スマホ向けに限れば好調だ。「コンデンサーや水晶部品はハイエンド機に強く(スマホ市場の鈍化の)影響はそれほどない」(山口悟郎社長)。

 中国のスマホ市場が変調を来しているのは確か。しかし国内の部品メーカーが得意とする高性能機は伸び続けている。一方で高機能化でも部品搭載数が増えない部品は、苦戦を余儀なくされそうだ。
日刊工業新聞2015年11月02日 電機・電子部品
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
調査会社IDCの調べによれば、第3四半期(7ー9月)における世界のスマートフォンの出荷台数は、前年同期の3億3,260万台から6.8%増の3億5,520万台となり、四半期としては史上2番目に多い数字を記録した。ただアイフォーンの出荷台数が予想より若干少なかったことと、アンドロイド端末の価格がやや高めだったため、IDCが当初予測した3億6,380万台という数字を下回る結果という。それも水準は依然高い。中でも中国におけるスマートフォン販売台数で、ファーウェイがシャオミを抜いて首位に立ったという。シャオミの出荷台数は前年同期比で初めて減少した。日系部品各社も中国メーカー+アップルの激しい端末競争がプラスに働いている。

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