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三井造船が福岡に設計部隊を新設、地元志向の人材狙う

三菱重工長崎からの転職組獲得も視野
 三井造船は福岡市博多区に船舶設計の分室を設立した。本社や工場以外に新造船設計部隊を配置するのは珍しい。九州には九州大学や長崎総合科学大学が船舶海洋工学系学科を持つなど、造船に対するなじみが深い。瀬戸内地区に勤務しながら地元就職を望む優秀なエンジニアの受け皿に位置づけるほか、商船事業改革を進める三菱重工業の長崎造船所(長崎市)からの転職組も見込んでいる模様。造船業界で人手不足が顕著になる中、人材獲得合戦がし烈になっており、同様の動きが業界に広がる可能性もありそうだ。

 船舶・艦艇事業本部船舶設計部の福岡設計分室は、本社(東京都中央区)、千葉事業所(千葉県市原市)、玉野事業所(岡山県玉野市)、フィリピン子会社に次ぐ5番目の造船設計拠点となり、シリーズ船と呼ばれる中小型バラ積み運搬船の機能設計を担う。

 8人で始動、2017年度に30人以上とする。三井造船の正社員として採用し、転勤の可能性もある。現状は造船設計経験のある30代の5人を中途で採用し、研修している。

 福岡設計分室には船殻設計、ハッチカバーなどの船装設計、エンジンルームの機装設計、電装設計の4グループを設け、契約後の新造船全体を3次元CADなどで設計する。吉田修室長が機装設計グループ長を兼任する形で取りまとめる。

 三井造船は新造船で2年半以上の手持ち工事を抱える一方、ガス運搬船や海洋構造物など高度なエンジニアリング力を必要とする高付加価値化を進める。グループ社員を除き300人強の設計人員を抱えるものの、不足感が顕在化している。
日刊工業新聞2015年10月26日 総合1面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
「三井造船の正社員で採用」されるという部分は、強いアピールポイントになりそうです。

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