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APや米ヤフー採用のロボット記者ソフト、ベータ版を一般に無償提供

表計算データから英語の自然な文章作成
APや米ヤフー採用のロボット記者ソフト、ベータ版を一般に無償提供

ベータ版による文章作成の一例(オートメーテッド・インサイツのサイトから)

 関連する多くのデータをもとに、記事や報告書などの自然な英語の文章を作り上げるソフトウエアが、米国のジャーナリズムの世界で使われ始めている。「ワードスミス」(Wordsmith)がその代表格で、キャッチフレーズは「表計算のデータを物語に」。すでに大手通信社のAPや米ヤフーなどで実際に運用されている。

 開発元は米オートメーテッド・インサイツ(ノースカロライナ州)。同社は、自動文章作成の詳細なニーズを探るため、新しい試みとしてワードスミスをベースにした無料のベータ版の提供を10月22日に開始している。確かに、こうしたソフトで煩雑な仕事から解放されるメリットはあるが、文章作成という人間本来の頭脳労働も、機械任せにする時代を迎えようとしている。

 このソフトでは、表計算ソフトやデータベースソフトで使われる保存形式の「CSVファイル」で、データをアップロードして読み込ませ、テンプレート(ひな型)に沿って文章を作る。とくに数字については、それが文脈でどの程度のものなのかといった規模感について、「大きい」「巨大」「普通」といった複数の表現をあらかじめ設定しておき、自分流の文章が作れるようになるという。

 ワードスミスについては、ヤフーがアメリカンフットボールなどのスポーツ記事に活用し、APではこのソフトで四半期当たり3000本以上の決算記事を作成しているという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
記者ロボットの出現で大半の記者が失業するーという人類滅亡以上に恐ろしい予測もあるが、ワードスミスを導入したAPでは人減らしを行っていないという。反対に人為的なミスが減って万々歳という話だ。確かに決算報告やスポーツ結果の要約記事では、数字や事実を正確にわかりやすく伝える文章にまとめれられればよく、ロボット記者で十分なのかもしれない。その分、人間の記者は、通常では表に出てこない、より付加価値の高い取材報道に取り組め、ということになる。

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