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今さら聞けない「マイナンバー対応」ー何から始めるべきか

KPMGコンサルティング・パートナー 田口篤氏に聞く
今さら聞けない「マイナンバー対応」ー何から始めるべきか

KPMGコンサルティングの田口氏

 社会保障・税番号(マイナンバー)制度の番号通知が10月から始まった。マイナンバーの使用は2016年1月の運用開始から3年間は社会保障、税、災害対策の3分野に限定される。すでに大手企業はシステムも含め着々と制度対応を進めているが、中堅・中小企業からは「何をいつまでにやればよいのかよく分からない」といった声も聞こえてくる。具体的な作業手順について個人情報の扱いや同制度に詳しいKPMGコンサルティング(東京都千代田区)の田口篤氏に聞いた。

 ―企業担当者はマイナンバーにどう向き合えばよいでしょうか。
 「まず法令を理解することだ。マイナンバー法を一言でいえば『個人番号を行政に提出する書類に書くことになった』ということ。自社が関係する書類は何かを把握することが理解への第一歩だ」

 ―作業面の負担は。
 「従業員以外にも源泉徴収していれば番号を集めねばならない。見落としがちなのは個人事業主や個人への支払いだ。外注先などをきちんと把握するには現場を巻き込む必要がある」

 ―個人番号を集める際は本人確認も必要ですね。
 「番号の正しい持ち主であることの『身元確認』と、番号が正しいかの『番号確認』がある。従業員だけならたやすいが、中小企業などは、会社の敷地を借りている地主やオーナーからも番号を集める場合がある。力関係が複雑だと、一筋縄ではいかない」

 ―システム対応で気をつける点は。
 「政府機関が策定した『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン』では番号を利用したり、削除したりする際にログ(履歴)をとることを求めている。これは手間がかかる。個人番号の登録・管理の仕組みも留意すべきだ。既存のデータベース(DB)に一列追加して個人番号を入れ込むと、DBのすべてが特定個人情報の扱いになってしまう。番号は分けた方が管理しやすい。自社では(情報を)持たずにアウトソース(外部委託)するケースも少なくない」

 ―制度対応の優先順位はありますか。
 「どれ一つとして手抜かりはできないのかと聞かれれば、答えはノーだ。法定調書や帳票によって”使いだし“が異なる。16年1月時点で必要なのは税務関連。健康保険は17年1月から。要は16年1月1日に入社する社員がいれば、雇用保険の届けが対象となる。次に必要なのは、16年4月に入社する社員の雇用保険の届け。そうこうしているうちに、16年度の年末調整の準備が同年11月ごろから始まる。実際はそこが大きなヤマ場となる」
(聞き手=斉藤実)
 
日刊工業新聞2015年10月22日付電機・電子部品・情報・通信面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
マイナンバー制度をめぐってはいよいよ10月から個人番号の通知が始まり企業側の対応も待ったなしの状況です。しかし、この記事を読む限り、一度にすべてが必要になるわけではないらしい。2016年1月時点でまず必要なのは税務関連とか。

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