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ファミマ・ユニー統合。さらなる再編へ仰天予想も

大株主・伊藤忠は出口戦略でどう動くか。気になるセブン―イレブンとの関係
ファミマ・ユニー統合。さらなる再編へ仰天予想も

ファミマはユニーGHDとの経営統合でセブン&アイ、ローソンを追撃する(今年3月の両社長の会見)

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(GHD)が2016年9月の経営統合で正式合意した。全店売上高でイオン、セブン&アイ・ホールディングスに続く流通業界の一大勢力の誕生は、流通の”主役“だった総合スーパー(GMS)に代わってコンビニエンスストアが主導した再編を強く印象づけた。一方、ファミマ大株主の伊藤忠商事の思惑も絡み、さらなる流通大再編に発展するとの観測も浮上してきた。

 【運営効率化焦点】
 コンビニ業界トップのセブン―イレブン・ジャパンを擁するセブン&アイの鈴木敏文会長はファミマとサークルKサンクスを傘下に持つユニーの経営統合を「無関心。効果がでないのではないか」と切り捨てた。ファミマにとっては統合で4兆円近くになる売り上げ規模を商品の質的向上や、店舗運営効率化につなげられるかが焦点。

 だが、相乗効果を引き出す前に、リストラなど基盤整備が先行しそうだ。ファミマと統合するサークルKサンクスは、収益力の一つのバロメーターとなる全店平均日販が43万円(15年2月期)と決して高くない。
 
 ユニーの佐古則男社長も、この低日販について「(サークルKは)商品が欠品なくきちんとそろっているかなどの基本が弱い」と指摘。スケールメリットの前に、コンビニ事業ではファミマの商品・運営政策などビジネスモデルの導入や、加盟店の”基本の整備“、意識改革など質的改善が喫緊のテーマだ。
 
 【GMSも課題】
 不振のGMSテコ入れも課題だ。前期も店舗の減損損失で多額の特別損失を計上したが、今後も不採算店の閉鎖などリストラが先行する。しかもGMSとコンビニは商品政策や運営手法が違い、相乗効果が見いだし難いことはイオンやセブン&アイが証明している。

 セブン&アイは16年2月期の営業利益予想をイトーヨーカ堂の不振を織り込んで修正した。大手流通業にとってGMSの再生は共通の課題だが、統合新会社も当面はコンビニとスーパーの双方を展開する難しいかじ取りを迫られる。
 
 ファミマの上田準二会長は「我々はGMSと結婚する」と話し、統合新会社からのGMSの切り離しや売却などを一蹴するが、今後はファミマ大株主の伊藤忠商事がどう動くかも大きな焦点になる。
 
 ある商社関係者は「将来的に伊藤忠は、統合新会社の売却に動くのでは」と推論する。BツーBが主流の商社にとって日銭商売の流通は「手間がかかってリターンが少ない事業」(商社関係者)だからだ。

 【大胆な予想も】
 特に伊藤忠はグループの卸などを通じ、セブン―イレブンとの取引が多い。ファミマが大きくなればなるほど、セブンとの関係はねじれが強くなる。このため「今回の統合を成功させ、ねじれ解消にセブン&アイに統合新会社を売却するのでは」(同)などと大胆な予想を展開するがまったくの絵空事かどうか。ファミマとユニーGHDの統合は、業界再編に新たな火を付ける可能性もある。
(文=森谷信雄)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
街中がセブンとローソンとファミマばかりになっていく。それがまた統合になっていったら・・ツタヤが業態を変えた店舗を増やし始めたように、コンビニ飽和の中で、新しい業態転換も起こってくるのでは・・。違う業界との連携も活発になるだろう。

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