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《ソニー編》ザ・インタビュー#3 話題の「FES Watch」は変革への狼煙

プロジェクトリーダー・杉上雄紀氏が語る誕生秘話「新しいことを生み出すには『夢』と『縁』が必要」
 3回目の最終回は「FES Watch」のこれからの取り組みや、チャレンジ精神になどに話題が広がっていきました。

 ークラウドファンディングはすぐにオッケーが出たんですか。
 「やりたいと十時に言ったら『やってみろ』と。もちろん。ソニーで最初の試みなので、いきなり十時に言う前にいろいろな方に相談しました。それでも絶対にオッケーがでるかわからない状況でした。結構段取りもありましたが、なんとか前に進めたいという思いでしたね」

 クラウドファンディングでなければこの時間軸で製品を出せなかった

 ーソニーの社名を出さないというのは誰の判断ですか。
 「みんなで決めたことです。その方が早く出品できるので。やらせて下さいといってから2カ月後にはクラウドファンディングに出しましたから。ソニーという名前があったら、おそらくその時間軸では出せなかったと思います。そもそもクラウドファンディングのルールが社内にありませんし、今回は『SONY』ブランドではなく特例でした」

 ーソニーということが明らかになった前後で周りの反応に変化は
 「社内は知っていたので、えらい騒ぎになっているな、という感じです。社外の反響はいろいろありますね。社名を出さないでクラウドファンディングやっていた時期にきたコラボの打診があってすごい自信になりました」

 ーコラボの打診があった時はすぐに身を明かしたんですか。
 「場合によります。ある人たちには『僕たちソニーなんですど大丈夫ですか?』と言ってびっくりされたり、言わずにしばらくやりとりしたりとか」

 ークラウドファンディングをやる前の手応えは。実際には在庫がなくなるくらいに話題になりましたけど。
 「正直、まだ分からないです。クラウドファンディングはコンセプトで売っているところがあります。応援で買うという意味もあるし、イベント的な意味もある」

 「完成品がお客様のイメージ通りかは、出荷が始まって手元に届いてみないと分からないですから。そして一般販売になった時にさらにどういう反応があるか。自分の中では、ファッションのデジタル化でやろうとしていたことのまだ2%くらい。どこまでいっても未知な部分はあります」

 フェーズが変わったという意識はすごくあるが最初の軸は変わっていない

 ー新しいこと立ち上げるところまではきました。次のフェーズになると事業をどうスケールさせるのかという課題もでてきます。新事業ではよくあることですが、いかに最初の気持ちを維持しながら、事業のフェーズを変えていけるかがカギになります。
 「フェーズは当然変わってきていて、世の中に出すとやることも変わる。マーケティングしながら開発して、作ったものが届き始めて、どうやって事業をスケールさせるか。それは当然考えます。でも実際に事業のオペレーションを僕たちはやったことがない。事業の立ち上げ経験があるメンバーでではないので模索しながらです。

 「フェーズが変わったという意識はすごくありますが、ビジョンを変えるかは別の話。東京ガールズコレクションが東京ゲームショーくらいまでにデジタル化されるためにどうすればいいか。そこの軸は変わりません」

 ー話題になった後、平井さんから声をかけられましたか。
 「平井は感性価値を大事にしてます。時計の機能は時間がわかるだけなのに、すごく価格帯も広い。機能価値は少ないけど感性価値あるから買ってもらえる。ではFES Watchがもっている価値がなんなのか」

 「この前も平井は、『もっと見た目が大きく変えられるモードあったらどうか。ファッションは自己表現なので、大胆にアピールしたい人向けの機能も考えてみてよ。でもこれは僕の個人的意見だから、最終的には自分たちで決めてくれればいいからね』といちユーザー目線でおもしろい意見をくれました」

本田知行
本田知行 Honda Tomoyuki バカン
いよいよ最終回。新しいことを生み出すには『夢』と『縁』が必要。本当にその通りだと思いました。夢:事業が好きか、熱意をもって進められるかだと思います。好きだからこそ、アクセルを踏んで頑張れる。夢があるからこそ色んな人が巻き込めるのだと思います。縁:チームに入ってくれるメンバー、メンターとして関与してくれる方、事業を一緒に進めてくれるパートナーなど様々なメンバーを巻き込んでいくことが重要です。そういった方と適切なタイミングで出会えるか?というのも事業にとってとても重要ですね。

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