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“効果減衰”に注意!容器入り次亜塩素酸水「誤解を招きかねない状況」

機能水研究振興財団(東京都品川区、堀田国元理事長、03・5435・8501)が、新型コロナウイルス感染症拡大で市場に出回る容器入り次亜塩素酸水(酸性電解水)についてホームページなどで注意喚起している。食材の洗浄や手指・調理用具の除菌が主用途の次亜塩素酸水は、現場で生成しながら流水として使うのが原則だが、市中では容器入りで販売する例が見られる。別物の次亜塩素酸ナトリウムに酸を混合・希釈し、次亜塩素酸水として売る事例もあるという。(横浜総局長・青柳一弘)

電気分解で生成する次亜塩素酸水は高い殺菌・消毒効果を持つが、有機物に触れると瞬時に反応して水に戻るため安全で、食品添加物(殺菌料)指定を受けている。だが、取り置くと経時劣化だけでなく紫外線で分解が促され効果が減衰する。

新型コロナウイルス対策で消毒用アルコールの需給が逼迫(ひっぱく)して注目され、通信販売などで容器入り商品が急増。自治体などが次亜塩素酸水を無償配布する例も多い。同財団は誤解を招きかねない状況と認識し、ホームページなどで容器入り商品への注意喚起や機能・有効性への見解を発信している。

一方、塩素系殺菌剤(漂白剤)の主成分である次亜塩素酸ナトリウムも食品添加物だが、有効塩素濃度が高すぎると事故につながる。ほかの薬品と混合した水溶液は化学反応を起こすため、食品添加物としての販売も認められていない。

次亜塩素酸水の生成装置メーカーで組織する日本電解水協会(川田勝大会長=日本エコ・システムズ社長)は、新型コロナ感染症の拡大で脚光を浴びて困惑気味。「次亜塩素酸水は電解装置を付帯条件に、殺菌・消毒効果のある食品添加物として認可された。安全性が高く、新型コロナの感染防御にも役立つと考えられるが、次亜塩素酸水がどんなもので、どんな特性を持つのか理解されていない」(川田会長)としている。

日刊工業新聞2020年5月14日

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