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“販売とレンタルのあいだ”で拡販を狙う電動バイク普及戦略

購入負担軽減にバッテリーレンタルを導入
“販売とレンタルのあいだ”で拡販を狙う電動バイク普及戦略

新聞配達や宅配ピザで活躍する業務用電動バイク「メルモM201」

 明和製作所(福岡県糸島市、生野岳志社長、092・322・3111)は、電動工具用などのモーターメーカー。2009年から電動バイクを販売している。現在の主力製品は新聞やピザの配達向けの「MELMO(メルモ)M201」。小型電動車両の企画開発会社、メグム(福岡県糸島市)と5年ほど前に共同開発、改良を重ねている車体だ。

 同社は販売やアフターサービスを対象に環境管理・監査の国際規格「ISO14001」と品質管理の「ISO9001」で認証を取得。車両の仕入れからの販売品質保証体系をフローチャートにまとめ、それに基づいて顧客に対応している。苦情があった場合は原因を明らかにし、メーカーに改善要望を出す。修理中は代車を用意する。

 生野社長は、これまでの経験から電動バイクを「思ったよりメンテをきちんとする必要がある」と強調する。特に気を使っているのがモーター、コントローラー、電池のチェック。電池は使用履歴などから能力を管理するシステムを構築している。将来は通信機器を介し、電池の状態を遠隔監視するシステムを実用化したいという。また車体の充電メーターは電池の残量が分かりやすいよう、電圧を感知する方式と比べて表示が正確という積算電流方式を採用した。

 購入を検討する際にユーザー自らが能力を確認しやすいように試乗コースと坂道を本社工場の敷地内に作った。電動バイクは歴史が浅く、能力に不安を持つ人が少なくない。坂道は実際の荷物を積んで登坂能力を試したいという要望に応えて整備した。業務用のユーザーからは荷物がある状態での能力を気にする声が多かった。

 所有したくない人にはレンタル制度を整備。「販売とレンタルの中間」(生野社長)という電池のみをレンタルする制度もある。バイクの原価で大きい電池を持たず、購入の負担を軽減できる。またレンタル電池は手厚い点検を行うため能力が安定しており、その安心感があることがメリットになる。

 そのほか糸島市に住む九州大学の学生に月1000円で電動バイクをレンタルしている。これには地域貢献と電動バイクの認知度向上につなげるという狙いもある。
(文=関広樹)
日刊工業新聞2015年09月25日 モノづくり面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
バッテリーだけをレンタルできれば、長期利用による性能劣化も気にせずに済みますね。

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